読書感想:尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は新婚生活を送るならどんな生活を送りたいだろうか。自分の一番身近、距離もない場所に自分ではない人がいるという生活について貴方はどう思われるだろうか。

 

過去にとある女子から言われた台詞に傷つき、それ以来女子が苦手どころか怖いと感じる程にトラウマとなってしまった普通の少年、湊人。彼はある日、学園一の美少女であり才色兼備、家事も料理も完璧な美少女であり姫とさえ呼ばれる少女、花江りこ(表紙)が海外に転校してしまうかもしれない、という事をひょんな事から知ってしまう。

 

もし同性だったら普通に家に泊めてあげれたのかもしれない。若干冗談交じりに、ぼそりとつぶやかれたその言葉。

 

「私をあなたのお嫁さんにしてくれませんか・・・・・・っ」

 

その瞬間、りこから飛び出したのはまさかの爆弾発言。家に泊めてほしいという段階を、まるでジェット機で飛び越えていくかの如き、逆プロポーズの言葉だったのである。

 

一緒に暮らす為にはりこの父親を何とかせねばならぬ。その上で必要なのは本気と責任。だからこそ結婚してしまおうと言うりこ。

 

そして、二人ともに十八歳という事で結婚への障害はないようなもので。その後、すったもんだの末に二人の結婚はお互いの両親にも承諾され晴れて二人は夫婦となってしまったのである。

 

そう、夫婦である。恋人同士という段階を吹っ飛ばしていきなりの夫婦である。そこから始まる二人の恋愛は、何故か湊人に尽くしたがるりこの大攻勢により甘々に過ぎる新婚生活となるのである。

 

名前で呼んでもらえた、たったそれだけが二人の記念日になったり。

 

「湊人くん、捕獲です」

 

急な雨に降られて、相合傘で帰る事になったり。

 

「じゃあ信じて。湊人くんは素敵だよ」

 

自分の弱い所、自己肯定感の低さを真っ直ぐに受け止め、肯定してくれたり。

 

が、しかし。あくまでも契約結婚だと認識し、徐々に惹かれつつある自分の気持ちを押し殺そうとする湊人は己の想いに蓋をしようとし。そんな彼へと、りこは真っ直ぐに思いをぶつけてくる。

 

「そういうところ、ほんと湊人くんだよね・・・・・・。・・・・・・そこが・・・・・・―――きなんだけど」

 

「それなら、私・・・・・・もう気持ちを抑えない・・・・・・!」

 

まだ女の子は苦手なのかと問いかけて、君は違うと湊人に言われて。抑えきれぬ気持ちは心の堤防を越え、溢れ出す。

 

湊人は忘れている、りこは覚えている。そんな記憶がきっとある。二人の間には今は未だ隠されている、共通の過去がある。

 

そんな事実が何度も仄めかされるからこそ、二人の想いはすれ違っているようで擦れ違わず。そして、仄めかされる過去があるからこそ、その思いは嘘ではないと信じさせてくれるのだ。だからこそただ幸せなだけ、そんな今は未だ両片思いの新婚生活が今の段階でも甘さを持っているのである。

 

両片思いのいじらしいラブコメを読みたい読者様、すれ違いなしの甘々を楽しみたい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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