問:マリー・アントワネットと言えば?
答:パワー・アントワネット(それは違うレーベルである)(詳しくはtwitterで検索検索ぅ)
さて、ちょっとしたおふざけ的前座は脇に置いといて、彼女及びその親族の悲惨で凄惨な最期は各自調べていただくとし、マリー・アントワネットである。かの悪名高き王妃である。しかし、画面の前の読者の皆様はご存じであろうか。現在流布されている彼女の伝説は、大分脚色が入っているものらしいという事を。
では本当の彼女は一体どういう乙女だったのであろうか。それは歴史の大河にでも問いかけないと分からぬかもしれないが、少なくとも我儘な姫様として描写されているのがこの作品である。
この作品の舞台に関しては、作者様の前作である「魔法と夜のウォンテッド!」(手っ取り早く内容を知りたいという読者様はカクヨムで検索してみてほしい)を参考書籍として挙げさせていただくが、魔法も人外の存在も存在する現代世界、その魔法機関が大爆発し封印されていた数々のアーティファクトが世に解き放たれた事より、この作品は幕を開ける。
とある事情で貧乏な魔法機関の一員である主人公、千隼。彼が封印から目覚めたマリー・アントワネットと出会う事よりこの作品は幕を開ける。
お馬鹿で我儘な彼女に引っ張り込まれ臣下に勝手に任命され、彼の周りに集ってくるのはお馬鹿な仲間達ばかり。
そんな奴等が集うとどうなってしまうのか。その答えは言うまでもないだろう。東西奔走、七転八倒の大騒動である。
各々の目的の為、欲望の為。アーティファクトの回収に励む千隼とマリー達。
ある時には伝説の竜と激闘を繰り広げたかと思えば、またある時にはアウトローな街の奥深くまで潜入する事になってしまったり。
だが、そんな彼等は心の底から楽しそうなのである。馬鹿ばっかりな仲間達で、最後の一線で二枚目のように決めきれず三枚目になってしまったりするけれど、何だかんだと大切な所はきっちり〆る。だからこその憎めぬ格好良さがあるのだ。
何も考えず、何にも悩む事が無く。何かに疲れた時に、この作品の頁の扉を開くのが一番良いのかもしれない。
「謹んで―――お断りいたします」
弥次喜多道中が如き大騒動で混沌を創り出しながら、お馬鹿なノリとボケとツッコミで突っ走りながらも。
駆け抜けていく彼等の姿に悩みを吹き飛ばしてもらえるかもしれない。
何も考えず笑いたい読者様、偶にはジャンキーな笑いが摂取したい読者様には是非読んでみてほしい。きっと満足できるはずである。