さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもし異世界から帰ってきたとすればどんな生活をするであろうか。異世界の事を誰かに話すだろうか。それとも、隠して生きていくだろうか。
異世界に召喚され魔王を倒し、現代に帰ってきた元勇者な少年、唯人(表紙左)。しかし五年の時を経て帰ってきた現実世界に彼は馴染めずにいた。
それは何故か。何故なら彼は五年もの間失踪していたという扱いであり、異世界での戦いに馴染み過ぎたせいで、彼は現代日本でははぐれ者だったのである。
それも当然であるのかもしれない。誰しも自分の経験したことのない経験は信じがたいものがあり、そういう意味では異世界に行っていたなんて言っても嘘ととられるとが当たり前であるかもしれないから。
そんな彼を襲撃してきたのが、異世界の魔王の娘、フランチェスカ(表紙右)である。しかし襲い掛かったは良いが、一つの問題があった。
それが何かというと・・・異世界と現代世界の法則の違い。
よく考えれば当たり前かもしれないであろう。異世界での力が現代日本でそのまま使える事もあれば使えない事もあり。こちらの作品においては使えないものだったのである。
そういう理由により、唯人を暗殺するどころか何も出来ず、それどころか現代日本から帰れなくなってしまうフランチェスカ。
そして日本で暮らし始めた彼女は知っていく。唯人しか知らなかった異世界の人達の姿を。そして、魔界とは何もかもが違う世界のすばらしさを。
「力に差はあれど、心は魔族も人間も違いはない。家族を愛し、友を愛し、故郷を愛する。それは魔王も勇者も同じだと、唯人は気づかせてくれた」
父親が辿り着いた答えに辿り着き、同じ思いを抱き。そしてこの世界に友達が出来たからこそ、この世界も消したくない。
それこそが世間知らずだったフランチェスカがこの現代日本という異世界で少しだけ成長した証なのである。
全体的にコメディ調でかなりの混沌を巻き起こし終始ドタバタで進みながらも、どこか少しだけ非日常で読み終わったら何か、一筋の感動が見えるかもしれないこの作品。
ドタバタなコメディが好きな読者様、とにかく笑いたい読者様。一人の少女の成長物語が読みたい読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。