前巻感想はこちら↓
読書感想:紙山さんの紙袋の中には1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた画面の前の読者様であればこの作品のヒロイン達のぶっ飛び具合は既にご承知で在ろう。が、お忘れの読者様もおられるかもしれないし、実は前巻を読んでいないと言う読者様もおられるかもしれないので簡潔に説明すると、魔法少女の等身大パネルと会話する女の子、清楚に見えてとんでもない制服フェチな女の子、そして何故か常に紙袋を被り全身びしょ濡れな女の子という、滅多に見ないであろう個性の塊なヒロイン揃いである。そんなヒロイン達に順に焦点を当てていくこの作品で焦点が当たるのは誰か。その答えは表紙を見ればお分かりであろう。魔法少女のパネルと会話する春雨が今巻のヒロインである。
さて、先に予め説明しておくが、この作品の作中での時間経過はかなり早い。何故なら、この作品における一番重要なポイントは学生生活特有のイベントではなく、会話部の活動を通じて頑張るヒロイン達と、彼女達の悩みを解決するために奔走する我等が主人公、小湊君の頑張りこそがメインだからである。
季節は進み、秋から冬。学生生活的に言えば、文化祭が行われ、恋人達の一大イベントである聖夜がやってくる季節。
そんな季節の中でも、小湊君達と会話部の面々の部活動は相変わらず・・・に見えて、対外的に少しずつ拡大していく。
時に水族館に繰り出して遊んだり。時に調理部と何故か対外試合をする事になったり。また時には、やってきた文化祭の中で一風変わった出し物に全力で取り組んだり。
そんな日々の中、小湊君は春雨の、今まで知らなかった素顔と、何故か魔法少女のパネルと会話する事の意味を知っていく事になる。
彼女の本当の姿は、誰よりも純粋な女の子。聖夜の奇蹟を信じるからこそいい子でいる、だからこそ自分に出来る事で自分を変えようとしていた、ただそれだけ。
この年になってまだ? と驚き笑うのは簡単かもしれない。だけど、笑わない。笑う必要はない。ならば小湊君達がすべき事は何か。それは去年来なかった聖夜の奇蹟を演出する事。聖夜の贈り物をサンタに代わり届ける事。
「いや、変じゃない。友達を作るためにがんばったんだろ? あーちゃんと同じように」
彼女に必要だったのは、アニメのようなハッピーエンド。だからこそ今、自分に出来る方法で最高に幸せな結末を。
ラブコメよりも、彼女達の問題解決に全力を。自分に出来る方法で、全力で。
前巻の中で流れていた独特の温かさと面白さが更に深まり溢れ出す今巻。
前巻を楽しまれた読者様、独特の温かみが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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