読書感想:パワー・アントワネット2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:パワー・アントワネット - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、続刊は無いと思ってた読者の皆様、マリー様に懺悔の筋トレ、腹筋背筋腕立て伏せ50回1セットを3セット捧げましょう。大丈夫です、私も後で捧げて参ります。

 

と、言うわけでまさかの続刊である。それもこれもこの作品がそれだけの人気であるという事であり、それだけ、彼女の筋肉(と書いてフランスと読む)が受け入れられていると言うことである。


では、一体今巻ではどんな筋肉旋風が巻き起こされるのだろうか?

 

 

その答えは二つ。今巻で描かれるのは過去と未来。過去、それはマリーの嫁入り前、筋肉溢れる花嫁修業。未来、それは革命より一年の後。新たな武闘会、そこにて相まみえる新たなる戦士との激闘である。

 

その名はナポレオン。某FGO等でご存じの方も多いであろうし、そうでなくとも歴史の授業で習った方も多いであろう。かの雄々しき英雄にして、マリ―とはついぞ出会わなかった存在である。

 

 しかし、この作品におけるナポレオンは筋骨隆々の偉丈夫であり、兵と書いて舎弟と読む者達から慕われるアニキ的存在であり。そして失われしローマの武術を用い、「真実の口」を武器として戦う戦士である。

 

はい、何を言っているんだと思われる読者の皆様、どうかツッコミはご勘弁願いたい。正にそういう事である。この作品だからこそ、描かれる英雄の新たなる人物像と言うやつである。

 

「ああならなきゃ、ならねえんだ。俺は! 俺は臆病者だった!」

 

革命が未然に防がれ開かれたパレード。そこで目撃した、マリーの圧倒的バルク。そこにあったのは自分にはない全て。自分は勇気も覚悟も、何よりバルクも足りなかった。それを自覚したその時、ナポレオンの恋は始まる。そして、本当の意味での漢としての道は幕を開ける。

 

 その道は、革命より一年後。新たに開かれた、国民も参加できる武闘会にてマリーと交わる。 バリー夫人すらも打ち倒し。準決勝まで残った他の戦士達も逸る心で打ち倒し。期待に胸膨らませるナポレオンの目の前。あの日憧れたバルクは、マリーは堂々と立ち、自身と全てを賭けて相対する。

 

「なるほど。素敵だわ貴方」

 

マリーにとって、ナポレオンは理想。彼女が求めたすべては、ナポレオンという一つの結果へと結実していた。

 

「マリー様! 是非とも俺と魂を賭けた闘争を!」

 

「いいわ。その闘争、お受けいたしましょう!」

 

 だからこそ、真正面から堂々と。お互いの魂を賭け、何よりも譲れない者を賭け。身分なんて関係ない、一人の戦士として目の前の強敵と。ここに繰り広げられるのは、筋肉と筋肉のぶつかり合う激闘。そして、革命の先にあるからこそ、凄惨さもなく真っ直ぐな誇りを以て繰り広げられる、正しく筋肉の祭典な死闘なのである。

 

かつてはおてんば娘だったマリー。だが、母であり神の如き筋肉を持つテレジアからの教えを請い、心技体全てを身に着け、その全てを今度は正しい誇りを以て振るう。

 

だからこそ熱い。本気で、健全にぶつかり合うからこそ。今巻は前巻よりも更に熱く、一種の爽やかさすら持った面白さがあるのである。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり筋肉が好きな読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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