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読書感想:最近雇った独占欲の強い美少女メイドが、実は王女様だった。 - 読樹庵
さて、前巻を読まれた読者様がこの感想を見ているという前提の元にここからの感想を書いていきたいわけであるが。この作品の主人公たるルクス君、無自覚タラシというべきか闇属性特攻とでも言うべきか。彼の貴族らしからぬ圧倒的な善性。闇を知り闇を見ているからこそ惹かれていくヒロイン達。あとこうも思われたかもしれない。ルクスって、女性の髪形とか変われば人物を認識できなくなるタイプなのか?と。
まぁそれは言っても仕方ないかもしれない。鈍感は主人公の特性である。という訳で今巻は、また一人。第二王女であるエリザリーナ(表紙)がルクスと出会い、あっさりと堕とされてしまう巻である。
「私が簡単に教えてあげよっか?」
エリザリーナの秘かな趣味の一つ、ファッション。仕事である調停に疲れ、ロクな男がいないと幻滅、赤いフードを被り「エリナ」として訪れた行きつけの洋服店。ここで出会ったのが、シアナに何か服を贈ろうと見繕っていたルクス。何故か気になる、覚える新鮮さ。
「今すぐ会いたいよ、ルクス・・・・・・」
それは何故か。男の心を読む術にたけたエリザリーナにとって、打算なくすべての言葉が純粋、心からなルクスはやはり新鮮、初めての人。気づかぬうちに当てはまっていた、夢想していた理想の王子様の条件に。フローレンスとシアナが火花を散らしていた李、シアナがルクスからお出かけに誘われ舞い上がっているその裏。気づけば彼女の中、思いは高まっていて。
「はい! とっても可愛いと思います!」
どうせ夢なんだから、あり得ないんだからと確かめようとして。しかし、ルクスから受けたのは真っ直ぐな気持ち、純粋すぎる圧倒的陽性な思い。今まで見たこともない男、初めて好きになった人。気が付けばエリザリーナも、ルクスに恋をしていた。
「これからは、ルクスの視界にそういう存在が入らないように私が処理してあげる」
「これから処理する相手に名乗る名前は持ってないよ」
の、だが。この国の王女様って躊躇いがないのがデフォなのか。貴族学校での一件、その下手人である三人がまだ死んでいないと知ったエリザリーナは、処理を決意し。シアナがルクスと楽しい時を過ごし、フローレンスがシアナを警戒し警護する中。十八番の武器である弓を片手に、フローレンスを連れてきた兵士たちに任せて自分は三人を淡々と「処理」していく。
「その言葉だけで、私はもっと頑張れるよ」
そして、交わらなかったシアナの動きとここから混じりだす。第二回王族交流会、シアナは参加しないためにバイオレットを送り込み。ルクスが個室にいるのを見つけたエリザリーナは歓談、交流会後にバイオレットが紛れていたと知って。シアナもルクスからエリザリーナのスキンシップの話を聞き、彼女が自分から奪おうとしているのでは、と予想をして。
「ただ本当にどこまでも嚙み合わないっていうか、運が無いよね」
王城、二人きりの会合。その中で知る、互いの思い人は同じという事。だがお互い譲れない。激突しそうになるも、一時帰国した第一王女、レザミリアーナの介入によりその場は流れ。シアナは三日後から外国との交渉についてきてほしいと言われて。
「単刀直入に言うと、あなたには数日の間ルクスくんと二人で私が他国交渉へ赴く国に来てもらいたいの」
ルクスを国元においておくとエリザリーナの好きにされる。しかし三日後までに守る準備は間に合わない。という事で選んだのは一時休戦の一手。フローレンスにルクスを連れてついてきてとお願いし。ここで他国に向かう流れと相成るのである。
新たなヒロインの登場、より重さ深まる今巻。前巻を楽しまれた読者様はぜひ。きっと貴方も満足できるはずである。
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