
さて、唐突な自分語りを失礼させていただくのだが、昔従弟とエロ談義していた時に、当時所持していた官能小説のラインナップから、メイド等の仕える系の子が好みなのか、と聞かれたのもまぁいい思い出である。まぁそれはさておき。ラノベにおいてメイド、というのは色々タイプがあるものかもしれぬ。例えばスカート一つとっても、ミニスカからクラシカルまでタイプがある訳であり。作品によってはメイド服の上から軽鎧を纏って帯剣しているメイドもいたりする訳で。
ではこの作品のヒロインのメイドさん、シアナ(表紙)はどんなメイドさんなのか。掃除から暗殺に至るまで万能なメイドさんであり。実はとんでもない正体の持ち主なのだ。
「やはりご主人様は、領主で収まる器でなく、王様の器ですね!」
とある王国の伯爵家嫡男、ルクス。彼の父親により専属メイド募集の張り紙を街に出して三十分以内にやってきたのが彼女。メイドの勤務経験はない筈、なのに超優秀なメイドであり。しかし何故か、ルクスにだいぶ過保護で、時に国の方針等の妙なことを口走る彼女。
「早く、早くどうにかして、ルクスくんとの関係を進めないと・・・・・・!」
さて、ではさっさとその正体を明かしてしまうとする。表紙にもある通り、彼女はこの国の第三王女様、フェリシアーナ。過去のパーティーの経験からルクスに惚れこみ、彼との幸せな未来を願い力を尽くす王女様。その世界の中心は、文字通りルクス。彼以外の男性何てどうでもいいくらいには愛が重いのである。
「ご主人様は情けなくなどありません!」
その愛は、貴族としての心得を学ぶ為、そして婚約者を探すために貴族学校に通う事になったルクスに、秘密裡に従者であるバイオレットを護衛に付けて、彼に近づく女がいないか監視する程。ではシアナは何処に惚れこんでいるのか? それはルクスの、貴族らしからぬ優しさ、善性。誰よりも他者の為に怒り、他者の為に涙し。傲慢で暴力的な者であっても、手を伸ばそうとする程の圧倒的な光の善性。 そこに惚れこんでいるから、愛しているから。国の暗部、悪を知る者として彼に唾吐いた者は暗殺する、容赦のなさを見せる。
「ルクス様は、何も間違ってなどいません」
が、しかし。シアナの懸念は現実のものに。貴族学校でルクスが知り合ったのは、公爵令嬢であるフローリア。最初は友達から始まり、共に行動するようになる中で。彼の光にまるで引き寄せられるかのように。自身もまた、暗部を知るフローリアはルクスに愛を抱き、彼の事を影から守るように。
これで彼の双翼、となれば話は早かったのだがそうはならなかった。同じく彼の事を愛する者、だがその守り方は食い違い。互いにお互いの中に闇を見いだして。
「あなたがルクス様の傍に居ることなど許されません」
それは同族嫌悪か、それとも。だが彼の愛は貴方にあげない、と言うかのように。彼の知らぬ所で、女の戦いは確かに幕を開けるのだ。
ヒロイン同士がバッチバチに火花を散らす、重い愛が交錯するこの作品。正に面白い、予想外に善きドロドロとした愛が読めて大満足である。 そんな、重めな愛を見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。