読書感想:女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話7

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻絢の家庭環境について何かしらの闇が垣間見えた訳であるが。絢と鞠佳の百合カップルにそれが一番に解決すべきか、と聞かれればそうではない。確かにそれは向き合わねばならぬ、いつかは。既に彼女達は高校三年生、将来への分岐点にいるのだから。だけどそれは今巻ではない。故に今巻は、その闇を忘れようと言わんばかりに元気に弾ける巻なのである。

 

 

その舞台となるのは何処かと言うと、沖縄である。いつもと違う舞台に何故、行くのか。その理由は只一つ、修学旅行である。受験の夏が来る前、最後の息抜きと言わんばかりに、一足お先に夏を迎えんとしている沖縄へと、向かうのである。

 

「鞠佳が好きなことを、つめこんでみた」

 

そのメンバーは、絢と鞠佳のいつものペアと、悠愛と知沙希のこちらもカップルな親友コンビ、そしてするっと混じってきた、よくわからぬ相手であるひな乃。五人で降り立つ沖縄の地。だがその旅行は、絢が宣言し悠愛も便乗した「明るく、楽しい、いちゃいちゃらぶらぶ修学旅行」へと豹変し、とんでもない方向へと舵を切っていく。

 

「ドSド外道ドヘンタイ女・・・・・・」

 

そのいちゃいちゃは、これまでにも増して官能的、というかエロティック、端的に言ってしまえば最早同人誌もかくやといったもの。ローターを鞠佳に仕込んで、人が沢山いる水族館を巡ったり。皆で海に繰り出せば、岩陰で裸にされてイカされたり。夜は自分の番、という約束を取り付け精一杯攻めれど、絢にとっては寧ろ嬉しい事であり。一種の無敵の人と化した絢に為すすべもなく、その攻めに押し流されていく。

 

無論、それだけではないのだ今巻は。 勿論言うまでもないがこの作品は百合カップルばかりである。しかしそれだけではないらしく、鞠佳は班行動をとる気のないひな乃の人間関係。他校の生徒である深優と凛香。幼馴染同士である三人で付き合っている、という意外な関係。「変わったヤツ」であった彼女が抱えていた、それこそ「ありえない」関係性。

 

 

「あたしの大切なものは三つ」

 

「あたしの負け」

 

だけど、それでも。彼女達はそれを受け入れ、全力でそれを護ろうとしている。人生で大切にすべきもの三つを既に見つけている彼女のあり方に触れ、その覚悟を見て。すとんと、それを受け入れていく。

 

また一つ新たな世界を知って、その先に来るのは受験シーズン。その中へ向かう道、遭遇する絢の母親、そして絢の意外な宣言。

 

いよいよ避けられなくなる向かい合う予感。それは何処へ向かうのだろうか。

 

シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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