読書感想:百合の間に挟まれたわたしが、勢いで二股してしまった話 その4

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:百合の間に挟まれたわたしが、勢いで二股してしまった話 その3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想を書いたのはいつかと思えば、もはや一年と半年前というもう大分の前。何とか続きが出てくれて嬉しい限りである。さて前巻までのストーリーは上記の記事でも見ていただくとして。今巻からは何を描いていくのか。前巻で襲来した真希奈、という幼馴染の形をした嵐。この嵐が早速、とんでもない影響を与えていく巻なのである。

 

 

そも、真希奈にとって凛花由那はどんな存在なのか。良く言えば四葉を囲うお邪魔虫、少なく見積もっても相容れぬ存在。

 

(なのにわたし、立ち止まったままだ・・・・・・)

 

しかしその思いの本質もまだ、気付いていない。そんな四葉の前にやってくるのは文化祭。クラスの出し物としてアイドルステージが考案され、真希奈が意外と乗り気で、凛花由那にも声をかけ。 公的には入り込めぬ四葉が焦燥感を深める中、助けを求めてきたのは咲茉。聞けば今、聖域ファンクラブも真希奈の存在を巡り分裂寸前、間に立たされた小金崎さんが許容量を超えて自堕落になってしまい。一先ずメイド服を着てお世話をし。醜態をさらしたとひとしきり悶絶した後で、小金崎さんは何とか元に戻る。

 

元に戻った彼女が危惧するのは、真希奈の思惑。芸能界で磨かれた鋭さ故に、絶対に気付いている筈と言われ。 何故それでも自分を好きでいてくれるのか、という事も含めてどんどん四葉は彼女の事が分からなくなっていく。

 

「だから・・・・・・絶対に勝ち取ります。 たとえ貴女が、それを望まずとも」

 

しかし状況は立ち止まることを許容しない。 凛花由那、二人それぞれと重ねる恋人同士の時間。 それに気づかぬ真希奈ではなく。強引に唇を奪って宣言してくる、必ず貴女を勝ち取ると。

 

そこに重なる幼き日の顔。そんな顔をしてほしくはない、だけど何が出来るのか。未だ踏み出せぬ、モブでしかない自分に。だけど出来ることはきっとある。小金崎さんに背を押され、自分にしか出来ない事を。

 

「これは、わたし達みんなの文化祭だからです!」

 

そう、今こそ踏み出す時。まずは意見の主張を。三人にだけ押し付けるのではない、皆で頑張る道を。 三人に比べれば劣るかもしれない一歩。だけどその主張は三人を見てきたからこそ出来るもの。 皆のど真ん中に立ち、メインステージへ。

 

停滞を越え一歩踏み出す四葉。その双肩に託されたものは、聖域ファンクラブの行く末。そして真希奈たち三人の決着。 裏切れない、だけど幸せにしたい。ならばそれを叶える事は出来るのか。

 

試練開始となる今巻、シリーズファンの皆様は是非。 きっと貴方も満足できるはずである。

 

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