読書感想:運命の人は、嫁の妹でした。2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:運命の人は、嫁の妹でした。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今巻のあらすじにおいて、この作品は今巻で更に斜め上の方向に大爆走していく、という事が語られているが、実際何処まで斜め上なのか、というと。単純な過去の世界、前世という部分を飛び越えて世界が更に多様性を増していってしまう巻なのである。その多様性を解き明かすキーワード、それはずばり「平行世界」、だ。

 

 

前世の記憶が解凍され、思わず獅子乃とキスを交わしてしまい、それを嫁である兎羽に見られてしまって。新婚早々、家から追い出された大吾。だがその裏で、その隙を突く形で兎羽が実家へ連れ帰られてしまい。獅子乃の協力の元、彼女を取り戻す為に乗り込み。何とか話をつけて、もう一度夫婦として始めようと、獅子乃も含めていつもの日常生活へと戻っていく。

 

「絶対、寝取る」

 

だがしかし、獅子乃はそれでも諦めてはいない。絶対に寝取る、奪い取ると言う決意の元に。大吾に自分を意識させるべく、ふとした瞬間に重い一撃を叩き込もうと機を伺う。

 

だが更に、判明していく事がある。それは兎羽にとっての追い風か、それとも獅子乃にとっての追い風か。平行世界の過去、だけではなく明らかな未来世界を始めとした、様々な平行世界の記憶が彼へと齎され。その全てで、大吾と獅子乃は結ばれていた。そして兎羽は全ての世界でお邪魔虫。彼等に焦がれ、脇から掻っ攫おうとして。それでもその手に何もつかめず、涙と共に消えていった者だった。

 

 

「―――あのレースの続きを、しませんか?」

 

だが、この現代世界では違う。兎羽が結ばれ、獅子乃がお邪魔虫。それは今までとは真逆の初めて訪れた機会であり、初めて二人、同じ線の上に並べた世界。だからこそ、この世界では対等、故に正々堂々。真っ直ぐに大吾を寝取る事を宣言し、獅子乃は兎羽に宣戦布告を突き付ける。

 

「私は、愛を信じているんだ」

 

だけど、それでも負けられない、負けたくない。例え獅子乃と大吾との愛がどれだけ巨大であって、自分の愛がそれと比べたらどれだけちっぽけだとしても。自分には武器が何一つないとしても。この愛を手放すつもりは毛頭ないから。

 

故、ここからが本当の意味での始まりなのかもしれない。幾多の平行世界、そして大吾の周りに集う世界を超えた縁者たち。役者は揃ったからこそ、どんな世界も関係ない、この世界だからこそのヒロインレースが幕を開けるのである。

 

本当の始まるとなる今巻、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

運命の人は、嫁の妹でした。2 (電撃文庫) | 逢縁奇演, ちひろ 綺華 |本 | 通販 | Amazon