
さて、時に画面の前の読者の皆様。皆様には、忘れられない恋というのはあるであろうか。もしかしたら叶えられていたかもしれない。違う結末を迎える事が出来ていたかもしれない。そういった感じに後悔、のような苦い結末を迎えた恋は、もしかしたら忘れられないものであるかもしれない。この作品はそんな、忘れられない恋、終わり損ねた恋、というものがまた動き出していくお話なのである。
「凛久の友達が同じクラスに一人いる」
高校入学を機に、3年前まで過ごしていた街に戻ってきた少年、凛久。入学式の日の早々に呼び出してきたのは、昔なじみのお姉さんであり今は担任である菫。彼女は言う、友達が一人、同じクラスにいる、と。
「久しぶりだね・・・・・・ずっと会いたかった!」
一体どういうことか、と思いクラスに到着早々。声をかけて来たのは悠香(表紙)。幼馴染、のような関係であり、凛久にとっては思いを寄せ合っていた、という確信があった関係。しかし、最後に交わした約束は交わされる事無く彼女の転校により離ればなれとなって、終わった恋の相手である彼女。しかし彼女は、何故かぐいぐい来る。まるであの頃のまま、というかのように。
「ずっと会いたかったよ・・・・・・りっくん!」
「また会えるなんて思ってもみませんでした・・・・・・」
そんな彼女にたじたじとなる中、知るのは思い出のお店でもある猫カフェ、「猫まみれ」が閉店していたという事。店の跡地、再会する懐かしい猫。そして店を勝手に掃除していたのは、今はギャルになり別の高校に進学していた夏鈴。掃除の許可を取りに行った先で再会するのは、かつて憧れていた年上のお姉さんである莉乃。
彼女達もまた、凛久に対し嬉しさを隠さずぐいぐい来る。そう、彼女達もまた、悠香とは時期が違うけれど、凛久と惹かれ合っていた。だが恋は叶わぬまま終わり、凛久はもう思いを整理していたけれど。3人の中、思いは未だ残っていた。
忘れられなかった恋が、今動き出す。 胸に空いた穴を埋めるかのように。目指す事にする「猫まみれ」の再建。彼女達も共に協力してくれる中、悠香とまずはぶつかり合う。身体が弱く倒れてしまい、嘯く彼女の思いを解き明かし。彼女の両親を説得し、もう一度仲間に加えて。
「あの日―――悠香が来なかった理由を知りたいんだ」
さぁ、白黒つけようか。共に向かうは、あの日の約束の続き、夏祭り。問いかけるのは約束が交わされなかった理由。
「私、こう見えて諦めが悪いの」
そして、伝え合う思い。悠香の今燃える思い、凛久の中、終わってしまった想い。思いをすり合わせ、改めて伝えて。まずは一つ、心に刺さった棘を引っこ抜くのである。
恋を再び始めていく、真っ直ぐに応援したくなるラブコメが見所であるこの作品。心擽るラブコメを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
あの日の恋(×3)が終わってくれない!① 想い出の美少女たちと再会したら、恋のレースが始まりました (オーバーラップ文庫) | 柚本悠斗, かがちさく |本 | 通販 | Amazon