前巻感想はこちら↓
読書感想:会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であれば、この作品の主人公である昴と、ヒロインでもあり義妹でもある平折の、始まったばかりの微妙な関係はもうご理解いただけているであろう。ではこの作品は、このまま一対一で進んでいくのか。そう問いかけられたのならば、答えは少し違う、と言わざるを得ない。何故ならば、二人のすぐ近くにはもう一人、見逃せぬヒロイン候補が存在しているからである。
その名は凛。学園のマドンナであり、平折を美少女へと変えた存在。彼女の手により進化を遂げた平折を意識してしまう事も徐々に増えだし。更に、凛との関係も徐々に深まる様相を見せていく。まるで深淵へと踏み込んでいくかのように、いつ割れるかもしれぬ薄氷の上、三人を結ぶ三角関係は形成されていく。
だがしかし、この深淵への踏み込みは外部からの爆弾を投入される事により、更なる揺さぶりの段階へと踏み込んでいく。その名は陽乃。今を時めく高校生モデルであり、友人の付き添いで訪れたイベント会場で昴と運命的な再会を果たした少女である。
彼女が昴を呼んだ、「すぅくん」という渾名。忘れた筈、けれどその名が何処か懐かしく。小悪魔的に彼の前に何度も現れる彼女に、心乱される昴。
同時に、平折もまた心を揺らされていく事となる、陽乃が彼女に向ける思いにより。けれどその思いは、マイナスからくる思いではなく。寧ろプラス側の思い。
致命的なネタバレを避ける為に敢えて明言を避けるが、陽乃と平折の間にはある、切っても切り離せぬ関係がある。文化祭も迫る中、その関係に焦点を当て。二人の間をもう一度結びつけるために奔走する巻である、今巻は。
凛の思い、平折の思い、陽乃の思い。三者三様の思いに向き合い、大人の思惑も知った事かと踏み倒し。思いを叶える為に、向き合う為に。
「だって素敵な人が傍にいますから」
そして向き合い、もう一度絆を結び直した先。平折は胸を張って陽乃へと告げる。確かに自分は不幸に見えるのかもしれない、だけど不幸なんかじゃない。素敵な人が傍にいてくれるから、と。
現実世界を主な舞台とし、関係性の輪を広げながら。正しく青春真っ盛りな等身大の感情が交わされる。そんな更なる広がりと深まりを見せる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった 2 (ダッシュエックス文庫) | 雲雀湯, Jimmy |本 | 通販 | Amazon