読書感想:最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様はこの作品が普通でない、というのはもうご存じであろう。そもそもこの作品の舞台である私立鷺ノ宮学園ですら、「優劣比較決闘戦」なんていう馬鹿げたマウント合戦が根底にある訳なので。ではこんな、ある意味で狂っているとも言えるこの学園、及び世界で「普通」とは一体何なのであろうか。

 

 

「もしかして皆も間違えちゃった?」

 

「ちりばめられている!!」

 

が、しかし。とにもかくにも、零がSクラス代表となる形で、彼等の学園生活は始まった訳であるが。始まって早々、千里が一つ下のAクラスにマウントを取った事で反感を買い。更には零にとって未知の言語と言っても過言ではない学問が当たり前のように散りばめられていて。戸惑うばかりの零を、クラスの人間達が簡単に認める訳もなく。そんな中で、流行を武器にしたマウントを得意とする、「全肯定主義者」、Aクラス代表の明からの宣戦布告を受けてしまう。

 

「私とお付き合いしてくださいませんか」

 

 無論、Sクラス代表である零は負けたら即退学。しかし彼に人望はある意味なく、クラスも一つにまとまらず。洗脳が解けたとでも言わんばかりに、何もかもを投げ出した先、遭遇した環奈と何故か草津へ旅行に行くことになり。千里や環奈の付き人である白兎も追いついてきて賑やかな旅となる中、夢うつつの中で環奈の告白を受け入れてしまった事が、更なる波乱を招いてしまう。

 

誤解に誤解を重ね、思わぬ方向へ行ってしまった事で、環奈とも仲たがいを招き。迎えた決闘当日、零の力となるのは千里を始め僅かな仲間達。対するAクラスは、圧倒的に纏まった数の軍勢。烏合の衆である彼等に、果たして勝ち目何てあるのだろうか。

 

「一体何を勝手に勘違いしたのか知らないけど、固定観念に囚われすぎだよ」

 

―――が、しかし。蓋を開けてみれば炸裂したのは、追い込まれ腹をくくった零の、何も持たぬ弱者だからこその策。環奈のみと口裏を合わせ、味方さえも欺いて。裸の王様だからこその、裏をかいた戦略で戦況を揺るがしひっくり返す。

 

その勝負を分ける原因となったのは何か。それは、「普通」というものへの考え方。環奈との語らいの中で学んだ零の、それ故の考え方。色々な意味での脱却。

 

「佐藤様、好きですよ」

 

その果てに、改めての環奈の言葉が全てを動かし始める。本当の意味での彼等の関係の始まりを告げていくのである。

 

本格的に面白さが駆け出し、始まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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