読書感想:最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、千里を時にウザがりつつ、環奈に惚れられ。少しずつ周りに友人の輪が出来てきたこの作品の主人公、零であるが。前巻の最後、天使のようなクラスメイトである翼に見えた謎の、人にはあり得ないもの。それが一体何なのかが明かされる巻であり、いきなりミステリの方向に舵を切るどころかぶっ飛ばしていくお話なのである。

 

 

 

「おいどこから涌いて出た馬鹿ども」

 

日曜日、響一と秋葉原に出かけようとする零に千里がウザ絡みし、そこに環奈や零世、萃果といったいつものメンバーが合流し、翼も加えて皆で秋葉原に出かければ、前巻で戦った相手である明と遭遇し。「優劣比較決闘戦」の舞台として激辛の中華料理店が選ばれ。結果的に死屍累々となって、全員で謎の腹痛に苦しむ事となって、引き分けと終わる。

 

「東雲翼に注意せよ」

 

しかし、波乱は既にすぐ側に迫っていた。寮で零の部屋の隣の部屋に住む男子を狙った殺人未遂事件が発生し。第二回の「優劣比較決闘戦」が各クラス容疑者二名を代表とした魔女狩りと決定し。零と翼が容疑者として選ばれる中、突如学長から告げられたのは翼に注意せよという事。理由を知る暇もなく、事件の捜査に挑む事となるも、翼は体調不良を続け欠席している事で、零一人での戦いを強いられる事となる。

 

現場検証と討論、疑い合い証拠を探して突きつけ合い。だけど少しずつ何か怪しいものは見えれど、凶器の判明にまでは至らず何も進まず。その中、翼がいつもとは違う表情で何か怪しい動きを見せ、彼女は何かを隠す様子を見せ。その最中、夢の中で一同は謎の世界に囚われる事となる。

 

その世界の主は誰か、それは「彼女」。謎の世界での激突で頼りになるのは、もう一人の自分。自分と一つになる時、零は新たな段階へと一歩、踏み込んでいく。

 

「死体蹴りやめてあげて」

 

「マウントは、殺人のための道具じゃない」

 

そして、戦いの中で判明するのは彼女が心に秘めていた怪物性。しかし無自覚なマウントを繰り出す彼女は、真犯人ではない。真犯人は他にいる。そしてその凶器はこの作品だからこその方法。この作品だからこその、いい意味で馬鹿馬鹿しい方法だったのである。

 

翼の怪物性が芽生え、零もまた一歩成長して迎えるのは夏休み。しかし彼等が向かう場所に波乱が待っていない訳もないであり。絶体絶命の状況、それはきっと全員を纏める為に零の真価が問われる時なのかもしれない。

 

更にドタバタになっていく中、翼の曲者な部分を掘り下げる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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