読書感想:見上げるには近すぎる、離れてくれない高瀬さん2

 

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読書感想:見上げるには近すぎる、離れてくれない高瀬さん - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、アオハル未満の彼等が紡ぐ「見守る系ラブコメ」であると評した本作品であるが、画面の前の読者の皆様もご存じであろう。中学生、それはアオハルこと青春の入り口であるという事を。誰かへの思いに戸惑い悩み、それでも何かを見つけていく。そんな季節の始まりなのだ、この頃は。

 

 

そして子供に出来る事、それは何かをえいやっと始める事。大人になるにつれて、新しい事に挑戦する事は段々難しくなっていく。だが、まだ子供であるこの頃は。何かを始めるのにちょうどいい季節なのである。

 

「下野のほうは、わたしが夢に出てきたりしたことない?」

 

前巻の騒動の後、水希の中で変わりだした菜央への意識。それは、夢見にまで影響するくらいに。揶揄われムキになったりしながらも、一緒に登校したりと、確かに二人の距離は縮まっていく。

 

「練習、付き合ってあげようか?」

 

が、そんな中、水希に接近する影が一つ。クラスメイトでありサッカー部としての先輩、綾香の友人である真琴。まだまだサッカー初心者ながらも、ひたむきに練習を続ける彼の姿に何かを感じたのか。一緒に練習する事を提案し、気が付けば彼女との時間も増えていく。

 

「わたしが一番近くて仲良し?」

 

その変化を、菜央は敏感に感じ取って。彼の事はあげないと言わんばかりに、唯一の弱点である運動音痴な面を解消するために、彼に特訓を依頼し。菜央と一緒に、な時間もまた増えていく。

 

外の真琴、内の菜央。二人の間で戸惑い、揺れ動く水希。そんな中、サッカーに向ける思いを明かした真琴は水希をデートに誘い。折しも菜央から誘われた音楽フェスの日程と被ってしまい。クラスのイケメンと接している菜央の姿を見かけたのも相まって、理由を誤魔化し真琴とのデートを優先してしまう。

 

しっかりと、自分に真っ直ぐな好意を向けてくれる彼女。その思い、それは確かに嬉しいもの。

 

けれど、その思いを受け、水希の中で自分の本心との向き合いが発生する中。菜央への思いが改めて見直されていく。その思いを見つめ、きちんと真琴に答えを告げて。少しだけ遅くなったけれど、一生懸命にフェスの大舞台へと駆けつけていく。

 

「わたしも、下野が一番だよ!」

 

お互いの胸の中にある、それは「一番」という気持ち。お互いが一番、仲が良くて大切。だから側に居たいし、居て欲しい。その思いを改めて自覚する時、本当の意味でのラブコメが始まるのである。

 

本当の意味でのラブコメ、アオハルが始まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

見上げるには近すぎる、離れてくれない高瀬さん2 (GA文庫) | 神田暁一郎, たけの このよう。 |本 | 通販 | Amazon