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さて、マナポーターという言わば魔力タンク的な職業であるも、その無限という魔力でどこぞの馬鹿的な行いも出来るこの作品の主人公、イシュアであるが。彼の規格外さは魔力だけ、という事ではないと言うのが判明してくるのが今巻であり、彼が更に活躍するのが今巻なのである。
魔力が無限にある、というのはどういう事か。即ち簡単な結論である。強引な理論であっても、無限の魔力でごり押しできてしまうという事なのだ。
リリアンに不器用ながらも熱心な勧誘を受け、新勇者パーティを結成した彼の元、指名での依頼が舞い込んでくる。それは隣の領地であるアメディア領に蔓延る、謎の奇病を解決するための霊薬を運搬する、というもの。まずは疫病蔓延る村の診療所を訪問してみた所、イシュアにより簡単に、その理由が明かされる。それは感染者全員、特定の属性のマナが抜かれていたというもの。領地に施されたマナを吸い取る仕掛けを辿り見つけたのは、魔王の右腕と呼ばれた最悪のモンスター、「災厄の竜」と狂信者達。復活の為に集められていたマナを食らい、災厄の竜は不完全ながらも復活を果たし、否応なく戦いは巻き起こる。
だが彼等はチームである。即興の連携プレーで必殺の一撃を叩き込み。最後っ屁とばかりに放たれたブレスを、リディルも唸るほどの強引な理論で成し遂げた瞬間移動で回避し、一つの事件は終わる。
と思われていたが、どうも彼等には休む時間もないらしい。続けて舞い込んできたのは大陸北端の防衛ラインの砦に迫る、魔族の大軍勢。王国騎士団との共同任務かと思えば、いけ好かない騎士団長が独断専行し和を乱し。騎士団が全く歯が立たぬ中、本命の援軍として他の冒険者達と共に到着し。大軍勢と向き合う戦いは幕を開ける。
さて、画面の前の読者の皆様、何かお忘れではないだろうか。その答えは勿論、前勇者であり罪人のアランの存在である。一方的な逆恨みを抱く彼が、大人しくしている訳もない。
アメディア領に、違法薬を売りつけに来た犯罪者ギルドの一員として現れ、イシュア達と鉢合わせしなすすべなく捕らえられ。かと思えば魔族四天王により助け出され、四天王の一人、イフリータと共に魔族の大軍勢に加わり現れる。
最早、説得は無意味。打ち倒す、それ以外に道は無し。例え強大な力を持っていたとしても、いくらでもやりようはある。そう言わんばかりに、旧勇者パーティの力を合わせ、アランとの因縁にケリをつけていく。
「アリアが手を汚すことはない」
最後の一手は自分の手で、そして決着はつき。イシュアもまた、功績を認められ新たな立場へと成り上がっていくのである。
更に王道的な面白さの溢れる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。