読書感想:魔王と勇者の戦いの裏で2 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:魔王と勇者の戦いの裏で1 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で始まった、元々はモブである少年、ヴェルナーの戦い。しかしよくよく考えてみると、彼の戦いはゲーム世界に転生系の作品の中でも、かなりのハードモードになるのではないだろうか。何せ、彼の戦いはゲームの中では語られていない。つまり何も対策が取れない。その上、勇者であるマゼルが魔王を倒せなかったら、それでも終わる。どう考えても、かなりのハードモードである。

 

 

だがしかし、それでも生き抜いていくしかない。何故ならば、もう賽は投げられた。物語は始まってしまったからこそ、もう立ち止まれないのだ。

 

「急な話だが明日から学校も休みだ。兵を率いてもらう」

 

砦から救出した負傷兵たちから話を聞きだす中、後の勇者パーティの一人である修行僧、エリッヒと遭遇し。置かれている状況が違うからこそ彼を引き留めるために、言葉を尽くし。マゼルの元に仲間を誘導するヴェルナーに父親から齎されたのは最悪の知らせ。隣国であるトライオットが魔軍に滅ぼされ、こちらへ向かってきている難民の対処の為。随分使い倒されると溜息を吐きながらも彼は難民問題へ立ち向かう。

 

さて何が問題なのか。それはこの世界が超リアルなファンタジーだから。考えてみてほしい、何千人もの難民が一日に消費する物資とはどれくらいのものか? 数字にすると圧倒的に過ぎる量。その中でも重要な水の問題を解決する為、ヴェルナーの前世での学びが役に立ち。だが難民を迎えに行けば、魔物の大群の襲撃に見舞われ。作り上げたばかりのシステムで迎撃する事を、余儀なくされる。

 

だがそれでも戦い抜く。懸命に一介の歯車として、戦い抜くヴェルナー。その裏でマゼルは初陣で魔族を討ち取りデビューを飾り。勇者パーティとして本格的に旅に出る事となる。

 

「脚本家の都合なんぞ知ったことか」

 

そう、ここからが本当の始まりなのである。身内のバカ共に悩まされ、外の敵達に胃を痛め。学生の身空の筈なのに、気が付けば戦場の最前線、改革の中核。周囲の人達からの関心をどんどん集め、結果的に大切にされながら。

 

だがその行いはゲーム世界の結果を歪めていく。ただでさえ分からぬ絵図がより分からなくなる。そして元々シナリオも見えぬヴェルナーの戦いは、ここからなのだ。

 

その裏、辺境で彼との出会いを待つのはマゼルの妹。彼女との出会いは何を齎すのか。

 

前巻とセットで一つの始まりとなる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

魔王と勇者の戦いの裏で 2 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~ (オーバーラップ文庫) | 涼樹悠樹, 山椒魚 |本 | 通販 | Amazon