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読書感想：英雄支配のダークロード - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で敗者である英雄達を従え、乱世の世界に覇を示した魔王、フール。だがしかし、世界へと反旗を翻し反逆を宣言した以上、勝ち続ける以外に他はない。そして勝ち続けるのであれば、彼にはまだまだ人材が足りない。だからこそ彼はまだまだ、人材を集めなければいけないのである。
「まあ、教科書には載るだろうね。端っこくらいに」
前巻で支配、併合した戦車の魔王の国。内政に向いていない魔王が支配していたが故に、人心も国土も荒れていた国を二宮尊徳の力も借りて立て直しを図り。だが彼の予想通りに、戦車の魔王の国で内乱が巻き起こる。その理由とは、未だフールが旧支配者階級には認められていないから。元々が実力主義、弱肉強食の国であるからこそ、強い将軍が中々いないフールは、侮られてしまうのである。
ではどうすべきか。やるべきことは只一つ、人員補充。その候補としてあがったのは、猛将であり毘沙門天の加護を受けている軍神、上杉謙信（表紙右）。悪魔の国で召喚されながらも、義を重んじるが故にすぐさま野に下り、反抗勢力を率いていた者である。
僅かな手勢を率い、悪魔の国へと潜入し、謙信の小姓であり軍師を務める直江兼続とまずは出会い。彼に危惧され幽閉されながら更には陰陽道による鬼を嗾けられ。だが武勇を以てその場を切り抜け、更には謙信からの「運」を試す試練にも無事合格し。彼は謙信を配下に加える事に成功する。
更には帰りの道中、円卓の騎士から離脱していたランスロットが、スピカに一目ぼれし彼女の騎士として仲間に加わり。続々と増えていくフールの陣営。だがそれを脅かすかのように、悪魔の国が謀略の魔女が支配する女教皇の国と手を結んだと言う知らせが舞い込み。今度は知略面を拡充すべく、悪魔の国に居た孔明の元を目指す。
だが、それこそは孔明の策略。自身の知略を用いた遊戯をしたいだけの彼の策に嵌り、分断された彼等は危機に陥る。そこに手を貸してくれるのは、狩人を装っていた軍師、李牧。始皇帝が最も恐れた、不敗の名将。この世界だからこそ孔明と友誼を結び、だが彼の蛮行を止められず。その後悔を晴らす為、彼も戦線に加わり。二か国を同時に相手取る戦いが幕を開ける。
無論、その戦いは決して簡単なものではない。必然的に激しい戦となり、フールの配下の者達がこれでもかと死んでいく。いっそ、あっけない程に。その先に待っているのは、僅か一度きりの勝機。全てを結集し、ただ一撃を加える為の攻勢が始まる。
「今まで戦ってきたどの魔王よりも強かったよ」
勝敗を分けるのは只一つ。力の使い方、それのみである。
ステージが一歩進み、加速度的に面白さも増してくる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
