読書感想:新米錬金術師の店舗経営06 弟子ができちゃった!?

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:新米錬金術師の店舗経営05 冬の到来と賓客 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、私は前巻の感想で、何も変わらぬかもしれない、といったかもしれないが実はそうでもなかったらしい、という事が分かるのが今巻である。よく考えてみれば当たり前のことかもしれない。アイリスと結婚する、という事は結果的にサラサは貴族になるという事。そして彼女はフェリク殿下との縁を既に築いてしまっている。つまりは、王族との太めの繋がりがあるからこそ、優先的にトラブルが舞い込んでくるということである。

 

 

無論、サラサに何の力もなければそんなことは無いかもしれぬ。しかし彼女は戦闘もこなせる錬金術師であり、割と政治でも通用する程に頭がいい。中々に貴族向きなのである。

 

錬金術師にとっては避けられぬ、王都へ出向いての納税の機会。二週間で徒歩で王都へと駆けつけ、師匠であるオフィーリアとも久々の再会を果たし。フェリク殿下によって自分の婚姻が喧伝されていると言う衝撃の事実を知る中、無事に納税は終わる。

 

「貴族の義務は理解していますよね?」

 

が、しかし。そうは問屋が卸さない。話を聞くと言う名目で待ち受けていたフェリク殿下に、既にサラサがロッツェ士爵家の当主となっている事を知らされ。貴族の一員として、最近サウス・ストラグもあるロッホハルトを脅かす盗賊問題を解決する事を命ぜられ。その為に領主全権代理へと任ぜられるのであった。

 

そんな彼女へと、二つの出会いが訪れる。一つは実家が大手の海運業を営む、かつての後輩であるミスティ(表紙右)。そしてもう一つは、かつての自分の家であるフィード商会の面々。ずっとサラサの事を待っていた商会の面々と和解を果たし、支店出店の提案を持ち掛け。更には実家と折り合いの悪いミスティを弟子兼従業員として迎え。サラサは全権代理として、本格的に動き出す。

 

 そう、もうサラサは平民ではなく貴族。おいそれと争いごとでも前線に出て行ける立場でもない。それ故に今巻では、いつもとは違い「指揮官」として、領地を回しながら村の発展に尽力し、更には盗賊退治のために指揮を執る彼女の活躍が見所なのである。

 

「すみません。手が滑りました」

 

その途上、前巻までの因縁の残り物である今巻の黒幕と、案外身近にいた共犯者の手によりミスティとロレアが囚われてしまい。怒りに駆られるも冷静に、最後はサラサが自身の手を以て全てを終わらせるのであった。

 

錬金術師、というよりは領主としての活躍が目覚ましい今巻。次巻は錬金術師としての活動が基本となるのだろうか。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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