読書感想:新米錬金術師の店舗経営05 冬の到来と賓客



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読書感想:新米錬金術師の店舗経営04 ちょっと困った訪問者 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、もうすぐアニメ化もする今作品であるが、ここまで読まれてきた画面の前の読者の皆様は、いい加減解決した方が良いのではないか、という問題がまだ一つ残っているのはもうご存じであろう。そう、領主のカーク準男爵である。サラサに一方的な因縁を抱き、その身を害そうとしている暗愚といよいよ決着の時を迎えるのが今巻なのである。

 

 

 

「そんなわけで、金策が必要になりました」

 

季節は冬。きちんと準備をすれば稼げるものの、多くの採集者達にとってはお休みの季節。採集者がお休みという事はサラサのお店の出番もなく。前巻で抱えた借金の清算の為、金策が必要になったサラサたちの前に、突然この国の王族の一人であるフェリク殿下がやってくる。

 

 何故彼はこんな辺境にまでやってきたのか、というと若禿に悩み腕利きと聞いたサラサに発毛剤を作ってもらうため。何か釈然としないものを感じながらも、相場の倍ほどの報酬と王族からの依頼を断るわけにもいかず。サラサ達は必要な素材を得る為に、冬の雪山に向かう事となる。

 

しかしそこでカーク準男爵の一派が一つ目の嫌がらせを仕掛けてくる。破落戸を店に送り込み、暴力を振るわれたと騒ぎ立て。錬金術師の公的な身分とアイリスの横槍でその場を退け、ロレアを残していくわけにもいかぬ為同道させる事となり。更には支援を依頼したレオノーラから修行の名目で落ちこぼれの錬金術師、マリスを寄越され。気が付けば大所帯な面々で冬の雪山へ。

 

だが更に厄介なことにここでもカーク準男爵の一派が嫌がらせを仕掛ける。 雪山の脅威である巨大な昆虫を衛兵たちに嗾けさせ、サラサ達を襲わせようと企み。だが彼女達の圧倒的な力に容易く脅威は蹴散らされる。

 

首尾よく素材も入手し発毛剤も完成し。フェリク殿下から聞いた本来の目的、それは目に余る行いばかりのカーク準男爵の家を根絶する事。運よくと言うべきか、そこに一派が現れ留守中の不法侵入未遂でケガをしたと騒ぎ立て。村を人質に面倒な要件を並び立てる。

 

「『目撃者ゼロ』、か・・・・・・」

 

モウコロシチャッテモイイヨネ? 本気でそんな事を考え半ば覚悟の元、本気でキレかけるサラサ。だが、その場に乱入し更に罪状を積み上げさせたフェリク殿下が、まるで狐のような笑みと共にお付きの者達の手で全てを終わらせる。

 

その後、改めて向き合うアイリスとの間の話。そもそも家族はいつか欲しかった、でも手に入るかも分からぬし、どんな人かも分からない。

 

「・・・・・・報いるとかは考えなくても良いですけど」

 

 しかし、ロッツェ家の領地に招かれ、母親であるディアーナやアイリスの妹であるリアとレアと接し。改めて今、手を伸ばせば手に入るものを考えた時。そこに選択の余地は存在しなかったのだ。

 

何も変わらぬかもしれぬ、けれど縁と立場は手に入れた。果たしてそれはサラサをどう導くのか。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

新米錬金術師の店舗経営05 冬の到来と賓客 (ファンタジア文庫) | いつきみずほ, ふーみ |本 | 通販 | Amazon