読書感想:新米錬金術師の店舗経営07 疫病を退治しよう!

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:新米錬金術師の店舗経営06 弟子ができちゃった!? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、現在アニメ絶賛放送中の今作品。現在アニメの方では、サラサが村に居ついて本格的に商売を始め出した段階であるが、アニメの時間軸から先となる前巻では、領主全権代理として問題に立ち向かっている。錬金術師なのに。ではそんな面倒な旗を降ろして、今まで通り錬金術師に戻れるかと言うとであるが。そうも簡単にはいきそうにない、というのが語られる巻であり。領主全権代理延長戦となるのが今巻なのである。

 

 

前巻の最後、レオノーラより舞い込んできたのはグレンジェの港町で疫病が発生したと言う知らせ。ヨック村にも注意を促さなければ、と何処か対岸の火事のようにとらえていたところに知らされるのは、一応まだ任期を解かれていないので、サラサはまだ領主全権代理であるという事。必然的に彼女が陣頭指揮を執る事を求められ。頼りになる師匠であるオフィーリアは偶然不在、という割と厳しい状況の中。サラサの新たな仕事が始まる。

 

 無論、サラサの周りには沢山の仲間がいる。弟子となったミスティが兄を協力させ、領を纏める者達は自然にサラサに従い。だが、無論この世界に手軽に使える通信手段はない。故に情報はリアルタイムで手に入らない。少しずつ情報は集まりだす中、意外と重めな被害の全容が見え始めるのである。

 

感染病の研究を志していたマリスをグレンジェに派遣し判明する、疫病対策が疫病に罹った主な者達である庶民にまで行き届いておらず、衛生環境が問題ばかりという事。グレンジェにお忍びで訪問していたフェリク殿下が、疫病に罹患してしまったという事。そしてグレンジェを超えて、他の貴族の領内にまで疫病が広がり始めていると言うもの。

 

無論、領主全権代理であるサラサが封鎖された場所に向かう訳にもいかず。だが指令所にいても、出来る事は少ない。ならばサラサに出来る事とは何なのか? それ即ち錬金術師としての領分。 感染の元である死体を処分する薬と、マリスより送られた疫病の原因らしき謎の虫を殺す為の殺虫剤を作ると言うもの。

 

ミスティを助手に、爆速で薬の製作に励む中。齎されたのは黒幕の情報。かつてサラサをぼったくろうとした悪徳錬金術師、ジョーゼフ。逆恨みに燃える彼が領主の館より盗み出した「キュピシスの壺」と呼ばれる太古の道具を使って虫を改良し疫病を齎していたのである。更に判明するのは、もう時間の猶予はないという事。軍を組織する暇もなく、いつもの三人にミスティを加えた四人でアジトに強襲をかけ。オフィーリアが裏で暗躍している事を知らず、大暴れして全てを終わらせる。

 

「少し広くなるだけのことですよ」

 

 が、しかし。肩の荷が下りるかと思ったらそうでもなく。快復したフェリク殿下により更に広大な領地の領主という地位と爵位の昇格という恩賞が与えられ。気が付けば基本的には代官に頼るものの、更に面倒な立場になってしまったのである。

 

そろそろ新米の看板も取れる頃、それどころか新米領主の看板が付きそうな頃。更にほのぼの、ちょっとガルコメみが増す面白さを楽しみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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