読書感想:ある日、他人の秘密が見えるようになった俺の学園ラブコメ EP1:イケメンに奪られた憧れの美少女をオトします

 

 さて、基本的に「ステータス」と言えばファンタジー世界に於ける概念であるかもしれない。しかし、現代においてもステータス、というのが見える作品と言うのもラノベ界には存在している訳である。では画面の前の読者の皆様の中でそういった作品を読まれた事のある読者様は、その作品におけるステータス、現実世界に於けるそれにはどんな事が書いてあると言うイメージがあられるであろうか。

 

 

基本的なイメージには差異があるかもしれないが、ステータスに書かれている事、それ即ちその人の「秘密」である、と思われる読者様はどれだけおられるであろうか。この作品もまた、そんな作品なのである。

 

「ナニコレ」

 

引っ込み思案でモブキャラ、とあるラジオが大好きという以外は普通の少年、灯。彼はある日、憧れの相手であり恋する相手である沙彩(表紙)が先輩からの告白を切り捨てている場面を目撃し、ふてくされて居眠りした矢先、何故か自分の目にステータスらしきものが見えているのに気づく。

 

「あたし、はじめてだったのに・・・・・」

 

 そこに書かれていたのは、幼馴染であるギャル、春が実は「ピュア」であるという事。その事実を確かめる為、事故を装って胸を揉んでみればその通りの反応を示し。それを機に距離が近くなった彼女から、沙彩が三年の城所先輩と付き合っていると突き付けられ。だがその先輩が軽い男であるとのうわさを聞き、沙彩を彼から強奪することを決める。

 

「無駄かもしんねえけど、頑張ってみようと思う」

 

春をアドバイザーとして、まずは同じ委員会という強みと、趣味が同じと言う部分を活かして、少しずつ沙彩と接点を持ちながら。バイトを始めて見た目は子供な賭博師、芙海と仲良くなったり。彼が何か行動をする度に、彼のステータスは変わっていく。少しずつ、自分にとってプラスとなるステータスが芽生えていく。

 

その変化は勿論好ましい変化であり、彼を少しずついい方向へと導いていく。そしてそんな彼と接する中、少しずつ沙彩の心の中も変わっていく。少しずついいな、と思う事が増えて来て、どんどんとそれが大きくなっていく。少しずつ、言葉に出来ぬもやもやがその心の中で膨れ上がっていく。

 

そんな中、誤解と勘違いから城所先輩と灯が激突する事となり。お互いに好きなものをバカにされた事により灯の心に本気の怒りが灯り。彼女への恋を賭けて、心理戦で激突する事となる。

 

「俺たちが好きなものをバカにしたこと」

 

 勝敗を分けたのは、灯の成長したステータスか。磨かれた彼の瞳か。否、それだけではない。真っ直ぐに思うからこそ許せない、その直球な怒りこそが勝負を決める原動力。その思いが沙彩の心に届かぬ訳もなく。そして確かに、恋が始まるのである。

 

ステータスと言う要素を下地に、真っ直ぐな成長と恋を描いているこの作品、だからこそ面白い。故に真っ直ぐ真ん中なラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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