さて、通常ゲームの世界に於ける主人公と言う者は、視点を担当するものとして、我々プレイヤー側の「分身」となる存在である。特にキャラメイクが出来るようなゲームであれば、更に分身感も一入であろう。では、そんな「分身」に憧れを抱いたことのある読者様はおられるであろうか。ゲームの世界で活躍する、分身のようになってみたいと思われた事はあられるであろうか。
無論、現実にはそんな事は起きない。ゲームの世界と現実世界には明確な隔たりがあるのだから。
ではもし、そんな状況が実際に起きてしまったのなら? それがこの作品に起きる出来事である。
ゲームが大好きな以外は冴えない普通の少年、優人(表紙右)。ある日、期待の新作を買いに行こうとしたら不良にその資金をカツアゲされてしまう。
しかし、起動したプレイ用の機械の中には何故かそのゲームがダウンロードされており。起動時に彼に一つの選択肢が示される。現実とステータスを同期するか、という謎の選択肢が。
バックアップの事かと思い安易にyesを選択し、しかしそれは大きな運命に巻き込まれる合図となっていく。
喜び勇んでゲームをやり込み、その後日。かつてカツアゲされた不良たちに絡まれる少女、悠乃(表紙左)を助けようと手を伸ばした時。彼がゲームの中で身に着けた力は、現実世界でも顕現する。
それは一体、どうなってしまうという事か。その答えは簡単。例え現実で現実のステータスをあげるのが難しかったとしても、ゲームの世界であればレベル上げは自然になせる。そしてゲームの世界のステータスが持ち込めるのならば。それは圧倒的無双の材料となるのだ。
鍛えた身体能力でサッカー部のエースを圧倒し。魔法を覚える時に副次的に身に着けた力が学力を一気に押し上げる材料となり。
悠乃とゲーム中ではユーノ(表紙奥)として共に冒険に駆け巡り。現実中では悠乃と惹かれ合い、甘い関係を築きながら。仮想世界と現実世界に、意図せずしてその力を見せつけ人生を逆転させていく優人。
だがしかし、彼はまだその力の本質を知らぬ。「同期者」と呼ばれるその力の正体が何なのかも。そして、その力を持ってしまった事で、一体どんな運命に巻き込まれているのかも。
「さてと・・・・・・そろそろ帰ろっか」
彼の命を狙い襲来した謎の敵、別ゲームの謎の有名プレイヤー集団の一人を撃退し、その正体が人間ではないと知り。その先に悠乃と日常に戻ろうと歩き出す。
しかし、彼はもう目を付けられている。果たして彼を取り巻き始めたその運命から、逃れる事は出来るのか。
逆転の面白さとバトルの熱さのあるこの作品、真っ直ぐに心燃やしたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
VRゲーで最強無双の少年、現実にステータスが同期し人生逆転 (角川スニーカー文庫) | 藤谷 ある, キャロル |本 | 通販 | Amazon