前巻感想はこちら↓
読書感想:カメラ先輩と世話焼き上手な後輩ちゃん - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、主人公である彩人が撮りたいと願っている「おっぱい写真」なるものに関するドタバタなラブコメを、前巻を読まれた読者様はお楽しみされているであろう。一見すると意味が分からない、一回聞くと更に意味が分からない。だけどそこには確かに情熱がある。たとえ自分一人しか理解できぬとしても、その情熱のままにひた走る。だからかこそ我々からすると馬鹿に見えるかもしれぬが、登場人物の心情を惹きつけるのかもしれない。
「―――俺に、君のおっぱいを撮らせてくれ!」
・・・と言っても、彼はその直情的な正確と直球に過ぎるコミュニケーションを少しは改善した方が多少でも苦労はしなくなるのかもしれないが(苦笑)
彼がそんな声をかけてしまったのは、真夏の夜に出会った舞い散る桜の幻像を身に纏う少女。その名は美桜。後輩である雪希の友人であり、現役アイドルを目指す少女である。
彼女が挑む「全日本アイドルオーディション」、その中の試験の一つであるアプリを利用した応援ポイント集め。ポイントを集める為には優れた写真が必要。その為に彼女は彩人の力を求め。彩人は合格したらおっぱい写真を撮らせてもらう(ただし彼女の意思次第)という条件の元、協力することになり。彼女も加えた夏の一時が幕を開ける。
ある時は奈々枝の肝の姿の写真を撮ったり。またある時は静の授業風景の写真を撮ったり。時に寄り道、時にラッキースケベ。前巻よりも力を増したドタバタな日々が続く中、彼等は共通のとあるものを見つめ、向き合っていく。それは「夢」というものだ。
親友と誓った美桜の、アイドルと言う「夢」。母親との対話の中でもう一度見つめ直す彩人の、カメラマンとしての「夢」。そして雪希の、彩人の背を追ううちに見つけた将来の「夢」。
「俺にできることは何でもする!」
誰かの夢を見つめ、自分の夢を見つめ。時に額を突き合わせたり、真っ直ぐに応援したり。その応援が力となる。何よりも背を押してくれる、得難き力となる。
その果てに叶う、美桜の夢。そして彩人の前に唐突に現れるのは雪希の秘密にしていたもの。いつもそこにあった彼の「夢」。
「また、助手のおっぱいを撮らせて欲しい」
けれど、夢がそこにあっても自分はまだ未熟。何も表現しきれていない。だからこそ、もっとこの道を突き進む。自分を支えてくれる助手と一緒に。
彼の胸の中、満足感と共に浮かび上がるのは名もない新しい思い。その思いが形になる時、そこにどんな写真が生まれるのか。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
カメラ先輩と世話焼き上手な後輩ちゃん 2 (オーバーラップ文庫) | 美月 麗, るみこ |本 | 通販 | Amazon