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読書感想:痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった5 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、ここまですれ違ってきた諒と姫奈であるが、段々とすれ違いも収まってきたというのは画面の前の読者の皆様も何となくお気づきではないだろうか。しかし、ラブコメがままならぬように、現実もままならぬものである。それもまた仕方のない事かもしれない。彼等は未だ子供であり、何の力も持っていない存在だから。そして心は止める事は出来はしない。簡単に恋心を諦める事が出来たのならば苦労しない、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。
姫奈を主演として撮影を終了した、コンクールに向けた映画。気が付けばもう二学期、時間の進むのは早いものと言わんばかりに諒を待ち受けている忙しい日々。コンクールに応募したり、学園祭に向けて映画を撮影したりという日々が終わっても、次なる本番はすぐに来る。そんな彼の元へと舞い込んだのは、特別賞受賞の知らせ。正に姫奈と諒が揃えば無敵と言わんばかりに認められた確かな結果。その結果を得、自身もまた努力を始めようとする姫奈。
だがしかし、諒の隣に立ちたいのは姫奈だけではない。静香と藍もまた、諒の隣を狙い動き出す。一度フラれたくらいでは諦めたくないと彼へと不器用に思いを募らせ、アプローチを続けていく。
「高森くんのにおいするね」
「私は今からあなたにキスします」
不器用に迫る二人の裏、姫奈の元へ訪れる新たなチャンス。若い事務所の社長である若槻が彼女の演技を見込み声をかけてくる。だが、会ってみて思い知らされるのは大人の世界の厳しさと悪意。それもまた仕方のない事かもしれぬ。大人の世界は子供には分からぬ闇ばかりであり、姫奈もまた、まだ未熟にすぎないのだから。
「俺のことなんて気にすんなよ」
口では慰め、励まし、その裏で渦巻くは若槻の怒り。その怒りは諒を図らずも突き動かし、若槻をぶん殴らせ。更にはその報復とも言える状況に陥る中、松田の機転により状況は覆り、更には松田の一手が失脚を招く。
「手を組みませんか?」
「うん。いいよ。組もう」
感情が分からなくなり揺れ惑う。歯車がおかしな方向へ進んでいく。戸惑う諒のその裏で、人知れず静香と藍は手を結ぶ。
協力して迫る事を選んだ二人、対する姫奈はこのもどかしい状況を乗り越え諒の心をつかむことはできるのか。
確かに何かが変わりだした事を実感できる、切なさがまた一つ上がる今巻。
シリーズ読者の皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった6 (GA文庫) | ケンノジ, フライ |本 | 通販 | Amazon