読書感想:痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった7

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、これは世の真理であり至極当たり前の事実であるが、何かが始まったのならば終わりはある。どんな物語も始まったのならばいつかは終わる。この作品も、前巻までを読まれた読者様であれば何となくお察しではないだろうか。どこか、広げた風呂敷を畳む方向に進んでいるように見えるという事を。それは事実である。先に言ってしまうが次巻、この作品は完結を迎える。ではその手前である今巻でこの作品は何を見せてくれるのか。

 

 

と前置きをしてみたが画面の前の読者の皆様も何となくお察しであろう。諒と姫奈の運命的なつながりは。その繋がりに例え手を組んだとて静香と藍が太刀打ちできるのだろうか。皆様も何となくお察しではないだろうか、ここからの逆転の目がないかも、という事も。だがそれでも諦めきれぬ。最後の大攻勢をかける二人、例えそれが負け戦だとしても。

 

 だが決着をつけるべきはそれだけではない。姫奈と母親である聡美との確執。そして諒の、女性へと踏み込めない問題。何処へ進むにしても、終わりへ向かうにしても。今まで取りこぼしてきた全てを拾い集めなければ、進めないのである。

 

向き合い思う、根源に目を向ける。皆で遊園地に行ったりする、学園祭の始まり前。学園祭で繰り広げられるドタバタな日常、そして縦横無尽に活躍する姫奈を見守る諒。その光景の裏、彼は自分の根底、女性へ対して踏み込めぬ問題へと向かい合う。何故そんなことになっているのか、と回想する。

 

「後夜祭、グラウンドの中央で待ってます」

 

「あのさ・・・・・・後夜祭なんだけど―――」

 

想いに揺れる彼を引き戻さんとするのは、二人の言葉。自分のものになってほしいと手を伸ばす二人。

 

「わたしは、負けないから!」

 

更にそこへ投げかけられる、彼女の言葉。わたしはわたしになる、その決意と共に彼へとぶつける宣言。変わる事無き真っ直ぐな気持ち。

 

「約束をしたからとか、そういうのに縛られたわけでもない」

 

 三者三様の想いに触れ、ようやく彼の心は誰を向いていたのかを思い出す。自分の心の中、根底に抱えていた思いに気付く。ならばあとは踏み出すだけ。その力は既に持っている。今までの停滞を越え、諒は一歩踏み出して。「彼女」の元へと駆けつけ、手を伸ばす。伸ばされていた手を取る様に、その思いに応えたい、と。

 

それは導かれた未来。思いが繋いだ縁の先。やっと彼等は繋がった。この先には何が待つのか。

 

次巻、期待したい。

 

痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった7 (GA文庫) | ケンノジ, フライ |本 | 通販 | Amazon