読書感想:ぽんこつかわいい間宮さん ~社内の美人広報がとなりの席に居座る件~

 

 インスタグラムにTwitter、更にはFacebook。この世の中には様々なSNSが溢れており、そこに投稿する事で収入を得られている人々も存在しているし、画面の前の読者の皆様も何らかのSNSを利用されているであろう。しかし、社会人である読者の皆様は、会社内でのSNSの取り扱いには注意していただきたい次第である。何がコンプライアンス違反になるか分からぬも、とりあえず会社のものが映らぬような投稿をするのが安全である。

 

 

という前置きはさておき、最近では企業も宣伝のためにSNSを利用している事も多い。ではそんな宣伝のための投稿の裏ではどんな思いが溢れているのか。それについても触れていくのが今作品なのである。

 

とある会社の開発部に勤める陰キャなオタクのエンジニア、悠介。PCに詳しいもコミュ障である彼は、二年目から許される在宅勤務を目指し、今日もテンション低めに仕事に励んでいた。

 

「間宮くんの席は今日から藤城くんの隣だからね」

 

しかし、代り映えのしない毎日に一つの変化が訪れる。それは広報担当である一つ年上のお姉さん、ユリカ(表紙)が彼の隣の席にやってきたという事である。さらに悠介は上司に、広報として結果を出せず伸び悩む彼女をサポートするようにという業務命令を受ける。

 

 何故彼なのか。それは彼が料理系の投稿で人気を馳せ、三十万人以上ものフォロワーがいるSNS投稿者、HN「偽物」であるから。課された課題である夏までにフォロワー2000人という目標の為に、仕方なしに彼は彼女のフォローをする事になる。

 

まずは絵になる場所を探し、投稿する文面も考えて。投稿するスケジュールを考えたりと、少しずつこつこつと成果を探し積み重ねていく日々。

 

「今日は、私が頑張ったんだから褒めてもらうんです」

 

 その日々の中、悠介は完璧に見えたユリカの隠された素顔を知る。意外と天然でドジでぽんこつで、自分に悠介の目が向いていないと知れば不機嫌になったりと独占欲も強くて。彼女の心を知らず、しかし彼女は彼の事を気になっている。

 

その理由とは、彼だけは自分に忖度しなかったから。恵まれた容姿で望んでもいない利益を得て流されるままだった彼女に、唯一容姿を見ない目を向けていたから。

 

「結婚を前提にお友達になってくれませんかっ?」

 

その思いを胸に、彼女はどんどんぐいぐいと来る。彼の心に自分を入れようと迫ってくる、彼と共にいたいと努力を重ねていく。

 

それこそは彼女の、初めての自分自身の努力。誰にも忖度されぬ、彼女だけの頑張り。

 

その頑張りを前に、悠介の色眼鏡は取れていく。彼女自身を見つめ、少しずつ二人の距離が近づいていく。

 

だが、彼と彼女は二人だけではない。かつての悠介の同級生であり彼に思いを残す同僚、ミコやアルバイトのJK、ヒナといった者達もいる。彼女達の思いもまた、二人に寄り添う中で何かの波紋が生まれていく。

 

だからこそ、まだこの作品は始まったばかりなのである。

 

ぽんこつなヒロインに萌えたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ぽんこつかわいい間宮さん ~社内の美人広報がとなりの席に居座る件~ (ファンタジア文庫) | 小狐 ミナト, おりょう |本 | 通販 | Amazon