読書感想:英国カノジョは“らぶゆー”じゃなくてスキと言いたい

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 さて、昨今ラブコメ界において「外国人ヒロイン」なる存在が流行の兆しを見せている気がするのは私だけだろうか。恐らくそうではないと信じたい。では「外国人ヒロイン」の魅力とは何なのであろうか? 私が思うに、それは「特別性」と「神秘性」なのではないだろうか。例えば、外国人ヒロインの話している事が主人公だけ分かるとしたら、それは独自の特別性である。そして、何処か近寄りがたいが故に、そこに神秘性と言う魅力が出るのである。

 

 

ではこの作品のヒロイン、ステラ(表紙)はその辺りはどうなのであろうか。彼女は学校で「聖女」と呼ばれるほどの美少女である。何処か神秘的な雰囲気を持っている、外国の血を引くと言われている美少女である。

 

「料理くらいできますよ! お湯は沸かせます!」

 

 が、しかし。蓋を開けてみればイメージ一転。料理も出来ない、色々な事が出来ない。しかもどちらかと言えば日本育ちであるために見た目に反して英語もしゃべれない。まごう事無き「ぽんこつ」なヒロインだったのである。

 

そんな彼女が絡まれていた危機を救い、けれどお礼を言われたけれど塩対応。主人公である真中との出会いは、最低なものであった。

 

そんな二人は、ひょんな事から帰り道を同じくした事でお互いが同じ建物の中に住んでいたという事を知り、更にはステラのぽんこつ性を図らずして知る事となってしまい。

 

何だかんだと放っておくことが出来ず、見かねて面倒を見る事になり。一緒に食卓を囲んだり、お互いの家を行き来したり、真中から英語を教わったり。気が付けば、共に過ごす時間が増えていく。お互いが隣にいることが、ごく当たり前になっていく。

 

 そんな中、ステラの心の中に降り積もっていくのは初めての経験、初めての気持ち。

 

今まで自分の外を見る人ばかりだった中、彼は自分の本当を見てくれた。自分の本当を明かしても、幻滅する事が無かった。

 

そして、ぽんこつの理由。自身が抱える重荷を明かした時に欲しかった言葉を投げてくれた。重荷を少しだけ、軽くしてくれた。

 

「この気持ちって、一体何なのでしょうか・・・・・・? 私、この気持ちが分からなくて、不安で・・・・・・相談に乗ってほしかったんです・・・・・・」

 

 どんどんと芽生えていく、未知の感情。級友により名付けられたその心の名は「恋」。だが、その恋は簡単ではない。それは何故か。その理由とは、真中の心の中にはすでに一人の少女がいるからである。

 

初恋の相手、沙耶香への恋心は叶う事は無く、けれど忘れられぬ、切り捨てられぬ。その中へと、ステラは切り込んでいかなくてはならぬ。

 

「いつか・・・・・・絶対に『スキ』って言ってみせます!」

 

 だが、この気持ちは諦めきれぬ。捨てたくはない、燃え上がるこの気持ち。その心のままに、ステラの心に宿るは告白の決意。

 

巡り巡りて恋心は巡り、縺れ縺れて想いは交錯する。

 

何故私はこの作品をもっと早く読んでいなかったのだろうか。自分の判断をぶん殴りたい。

 

一つ確かに言える事。それはこの作品がまごう事無き青春の物語であり、昨今のラブコメの中でも面白さのトップクラスに食い込むかもしれぬ面白さを持っているという事である。

 

ぽんこつなヒロインが好きな読者様、ラブコメが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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