読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました6

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、このシリーズをここまで読んでこられた読者様であれば、何となくお察しの事があられるのではないだろうか。舞台の裏、恐らく何らかの黒幕がいるかもしれぬ事。そろそろ全体を通しての、何かしらの敵が姿を見せてもおかしくないのではないのだろうか、という事を。

 

 

今まで「敵」と呼べる存在はいた。一度きりで舞台に現れ、ジードの前に解決すべき問題を提示し打ち倒されていくばかりの存在はいた。だがしかし、もっと広義的な意味での「敵」と呼ぶべきであろう敵は存在しなかったと言っても良いかもしれない。では、ジードだけではなく、様々な者達の共通の敵となり得るような敵と言うものは、一体何ならばなれるのであろうか。

 

 その答えは、既に示されていると言える。スフィ達と敵対する旧アステア教。そこに秘められた闇が明かされ、宗教と言う大きな敵が立ち上がるのが今巻である。

 

前巻、獣人領で暴れ回っていたジード達。その裏、シーラは意思を持つ邪剣に魅入られその身体を乗っ取られ。アステア教の施設を、まるで恨みつらみで暴走しているかのように襲撃し、完膚なきまでに叩き潰していく。

 

アステア教に弓を引く、それ即ち世界を敵に回すと言う事。Sランク冒険者、ロイターを始めとする世界各国の実力者たちに狙われる立場となってしまったシーラを救うため、クエナと共にシーラを追うジード。

 

 だが、追いついたその先で。邪剣に化けていた、かつての剣聖。数百年前に死んだはずの偉人、ネリム(表紙中央)が姿を現し、真実を語る。語られずにいたアステア教の暗部。大いなる力を持つ者達を恐れるあまりに恐慌に身を染めた愚者たちの話を。

 

その因縁に絡めとられていたのはネリムだけではない。ジード達の上司であるリフもまた、忌まわしい過去を刻まれたと言う事実を抱えていた。

 

「協力する。『アステアの徒』がやっていることは許せない」

 

語られる、今までの愚行を根絶やしにするための作戦。それに乗ると言う事は、自分の既知の相手を敵に回すかもしれぬと言う事。しかし、それでも。共感できる怒りがある、守りたい人達がいる。

 

だからこそ、この運命の分水嶺で。「勇者」という役目を抱え込んだ上で、ジードは自らの意思で戦う事を選ぶ。大いなる戦いへと、自ら身を投じると言う事を。

 

大敵が登場し、一つの山場が始まっていく今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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