読書感想:敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、能力の反動、というだけではないだろう思春期の情動に突き動かされ、敵相手にセクハラを働く、というヒーローとしては絶対に褒められる行いではないだろう行いに走る主人公、晴彦であるが。しかし同時に彼は、エロが前面に立つも、それでもヴィランをまずヴィランとしてみない稀有な人材であるのは間違いない。故に彼の存在がこの作品をコメディに押しとどめている、といってもいいかもしれない。

 

 

 

まぁつまり、彼が居るからこそこの作品はコメディ、な訳であり。そんな彼のある意味いい所が描かれるのが今巻なのである。

 

「俺、どうしたらいいんだ・・・・・・」

 

前巻の戦いから少し時間が経ち、特務長から告げられたのは「黒球」の開発者である「ドクター」と呼ばれる人物に接触し情報を集めろ、というもの。しかし前回、シルヴィアとパイモンとの戦いの中でその名前が出ていたと言う事で、既に顔がバレているに等しいと言う事が判明し。だが問題ない、と判断された事で琴音をサポートに晴彦は、ドクターがいるスラム街へと送り込まれる。

 

「他のヴィランには感じたことのない気持ちを、俺はお前達に抱いている」

 

到着し行動を開始して早々、マリシという謎の少女に懐かれて。かと思えばシルヴィアとパイモンに見つかって容赦なくドクターの元に連行され、パトラとも再会し。 ドクターの胸を揉む、という行為の引き換えの元に容赦なく嘘まで暴かれ。しかし、彼自身の思いを告げる事で、何とか防衛行動の手伝いを条件に、情報を教えてもらえる事となる。

 

普通のヴィランであれば、こんな事にはならないだろう。ではこうなれたのは、やはり晴彦のちゃんと真っ直ぐな気持ちによるものなのだ。 スラム街の力が全て、の現状を目撃したりシルヴィア達と一緒に子供達と関わったりしながら、少しずつ、ヒーローとしてではなく一個人として、友情を深めていく。

 

その最中、襲撃してくるのは新たな敵である三姉妹。彼女達が狙うのはマリシ。そして自分の思いを暴走させるマリシの力が暴走し、場は破壊に覆われようとする。

 

「勝っても負けても楽しいんだ、だからもっと遊ぼうぜ」

 

今、泣いている彼女を助けられずして何がヒーローか。 彼女は自分の思い出の中に、僅かに残っている彼女ではない。それがどうした。絶対に助けて見せる、と。決死に駆け抜け、晴彦は頑張りの果てに一番の結果を掴んで見せるのである。

 

前巻よりはコンパクト、しかし笑いは増している今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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