読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました7

 

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読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で「アステアの徒」と呼ばれる狂信者達により帝国が支配され、その支配から帝国を奪還する為にジードは仲間と共に動くことを決めた次第であるが、ここで一つ、画面の前の読者の皆様に聞いてみよう。皆様はジードの「家族」、特に両親と言うものについて気になられた事はあられるであろうか。今までの過去が謎、そんな彼も人の子であるという事は、親がいると言う事である。では彼の親とはどんな存在なのであろうか。

 

 

その答えに一つの答えを出すかのように、ジードの父を名乗る者が現れるのが今巻である。しかし今巻はそれだけではない。

 

 まるで佳境と言わんばかりに全てが動き出し、様々な事が判明していく。一気に物語が動き出すのが今巻なのである。

 

リフにより調べられた現状の帝国の内情。それはかつて、リフが開発した洗脳魔法により帝国の者達が操られ、好き放題されているという事。それを消す為には、洗脳魔法を使っている者達を倒すしかない。魔法の届かぬ帝国外縁部に戦力を集める中、「アステアの徒」は神聖共和国を味方につけ、大胆にも行動を開始する。

 

「相手がおまえ同様に手段を選ぶとは限らない」

 

対処する為には、手段は選んではいられない、これは戦争であるのだから。ルイナの非情な策の提案にクエナが反発するも一蹴され。しかしリフによって諫められる中、神聖共和国を中心とする連合国軍との対決の時が迫る。

 

 だが、ソリアやフィル、スフィと戦いたいわけではない。奇しくもスフィもこの事態の裏にきな臭さを感じ独自に調べ、そこにジードが駆け付け事情を説明した事で、何とか敵対は避けられれど、事態は油断を許さない。この事態の裏で糸を引いていた黒幕、今代の「剣聖」であるロイターが遂に動き出す。

 

狙われたスフィ達を助けるために駆け付け、けれど圧倒的な力の差を実感し。更にロイターはジードを惑わすように、揺さぶる様に言葉をかけてくる。

 

「あれえ、おにいちゃん、なつかしいあじがする。あじ?」

 

 圧倒的なまでの力の差、そこでジードは決断する。勝つために禁断の魔法を解き放つと言う事を。使わなくて済むはずだった十番目の魔法、それを背後に開放するのは禁断の力。まるで人格すらも変わってしまったかのように。何処か幼き様子を見せ、いっそ無邪気なほどに滅びの力を振るい。ロイターごと、一つの都が不毛の大地へと変えられる。

 

圧倒的な力により戦いは終わる、だが禍根は残ってしまう。そしてまだ終わっていない。リフの元に現れた過去からの来訪者が告げた、女神アステアの実在という話。そしてジードこそは、女神への反逆の旗印となるべきという話。

 

だからこそ、後悔をしてる暇はない。もう走り出してしまった、その足は止められぬ。

 

物語が遂に佳境へと歩き出す今巻、シリーズ読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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