読書感想:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件5

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件4 - 読樹庵

 

 さて、前巻でマルスが正体を隠し西側諸国を漫遊していればそちらにも根付いていたハンドレッドの思想に戦慄しているその裏、ファルーンへと侵攻を開始していた、カサンドラの故郷であるロンザ帝国。ファルーンよりもはるかに昔からモンスターの肉を食う習慣がある国。しかし頻度的に、力としてはハンドレッドの面々を含むファルーンの方が上では? と思われる読者様もおられるかもしれない。だがそうは簡単ではない、というのが示される、マルス不在の戦場が描かれるのが今巻なのだ。

 

 

 

「あの悪魔どもが味方になるというのだから、人生はどう転ぶかわからんものだな」

 

まず手始めに、イーリス聖国へと侵攻を開始したのは第三皇子、イワノフが率いる軍。ロンザ帝国に面する北方の砦が電撃戦で墜とされていく中、イーリス軍大将、ヴォルフはクロスボウも生かした籠城戦を選び、犠牲を最低限に撤退する事に成功し。フラウ、キーリがそれぞれの軍勢を率い合流、更にはカーミラも向かっていく。

 

更に同時、バルカンへ侵攻するのはもう一人の皇子、エゴール率いる軍勢。シーラの弟であるハルトが迎撃に出、そちらにはシーラとハンドレッドの面々が向かう事に。

 

「さすがに学んでいるようですね」

 

正にファルーンの総力出撃、これなら余裕か、と思われたが。ファルーンと言うのは言わば今最も注目株、故に対策もされる。魔法使いであるイワノフの策と発明により、フラウとその部下達が抑え込まれ、キーリの魔獣軍団も奇襲専門である為役立てず、押し込まれ。カーミラの加勢により何とか持ち返すも、事態は劣勢。更にエゴールの相手をするシーラも出産直後の為に全力を出せず、オグマ達ハンドレッドの面々も初めて力及ばず、敗北を喫し。

 

「戦力的な心配をしてたんじゃないんだよ!?」

 

しかし、ここより状況は覆る。フラウの手引きにより参戦するマルスがイワノフを片付け、死した者達をフラウがグールに変える中、マルスはゼロスとして、シーラ達の救援へ。

 

「おまえ、騙されてるぞ!」

 

さて、ここでぶつかり合う事になるのはエゴール。この男、カサンドラの弟、言うなればマルスの先代、訓練の犠牲者である。同じ苦しみを知るからこそ友情が芽生えようとし、カサンドラを共通の敵としようとした所で当の彼女が現れて。結局、ロンザ帝国を攻めることになり。西側諸国へ攻撃を始めたロンザ帝国へ、少数精鋭で攻撃をかけることになってしまう。

 

大半は戦記、合流後はコメディになる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 5 (GCN文庫 タ 01-05) | 駄犬, 芝 |本 | 通販 | Amazon