読書感想:クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。5

 

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読書感想:クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて。今まで様々な、関係性を揺らす爆弾を投げ込まれても少しは進展する事があっても、根本的に変わることのなかった朱音の思いと才人との関係。王道的なツンデレであっても、その厄介な心が故になかなか素直になれない事に画面の前の読者の皆様もいい加減溜息に大分呆れが混じってきている頃かもしれない。だがしかし安心してほしい。今巻こそは遂に、朱音は自分の心に向き合わなければいけなくなる。その時が遂にやってくるからである。

 

 

その危機とは、勿論前巻の最後のあの危機に他ならぬ。思わず漏らしてしまった言葉から、級友達が導いてしまった二人の関係の邪推。その答えを素直には認める事は出来ず。結果的に噂が縺れ広まってしまう。

 

「是非やらせてほしいな!」

 

 噂を何とかする為に皆で額を突き合わせて考えて。陽鞠のアイデアにより実行することになったのは「噂の上書き」。手始めに糸青に恋人役を頼んでみてもうまくいかず。結果的にお鉢が陽鞠に回り、陽鞠が才人の恋人として振る舞う事になる。

 

移動教室にいく為に二人で行動したり。更には恋人らしくデートにいってみたり。陽鞠の本気か冗談か分からぬアプローチは結果的に周りに受け入れられ。徐々に噂は沈静化を始めていく。

 

 それは朱音にとっては喜ばしい事である筈。煩わしい事が一つ減った、筈だった。だが、何故か胸のざわめきが収まらない。自分の心の動悸がどうにも抑えられない。

 

それこそは恋の証。かつて才人とは縁があった、その頃から思いを抱いていた。だけど彼はそれを覚えていなかった。だから素直になれない、殺意という思いにめかして本心が見えなくなっていく。

 

「・・・・・・ここまでして気づかないなら、ホントに私がもらっちゃうよ?」

 

その思いを揺らし、隙を突くかのように陽鞠はアプローチを続けていく。偽装の恋人を続ける間に抑えきれなくなった思いが走るそのままに、誠実に向き合ってくれる才人の心を揺らしていく。

 

「才人のことが――――――好き、だから」

 

 そんな姿を、もう見ているだけは嫌だ。自分だけが蚊帳の外、そんなのはもうごめん被る。陽鞠の事は大切、だけど才人の事は渡せない。否応なく思いに向き合い、ようやく素直に言葉になる朱音の思い。ぶつけ合って喧嘩して、背中合わせに並び立って。親友として、好敵手として。二人は改めて宣戦布告の言葉をぶつけ合う。

 

そう、やっとこさ思いは形になった。ほんのちょっとだけ大きく踏み出せた。故にきっとここからが本当のスタート。もどかしいままではいられなくなる、そう信じたい。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。5 (MF文庫J) | 天乃 聖樹, 成海 七海, もすこんぶ, もすこんぶ |本 | 通販 | Amazon