読書感想:クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想で私はこの作品を、どろどろとした複雑な人間関係が醸し出す、腹の底にたまるラブコメ、と評したわけであるが。どうもそれだけ、という訳でもなかったらしい、というのが今巻で分かってくる。複雑な人間関係、それは主に大人のせいで。そんな因果に振り回されながらも、その中で複雑な思いが巡る作品だったのである。

 

 

「わたしの前で他の女の子のことを考えるのは嫌だな」

 

前巻の最後の騒動の後、先に帰宅していた夏帆の事を思う晴人を玲衣がやきもちと共に嗜め、更には混浴までしてみたりして。だが一番気になる所である、夏帆の父親の件について父親に聞いてみれば、絶対にありえないとの断言を受け。

 

「それは・・・・・・宣戦布告ってことかしら?」

 

しかし、その断言を受けてもその繋がりを信じる夏帆はそれでも乗り越えると言わんばかりに玲衣に宣戦布告し。恋のさや当てが更に激しくなる中、夏帆の叔母である冬花は二人の関係を疑い厳しい言葉を投げかけ。だが、帰国した雨音が暴き出したのは、意外な真実。無論血の繋がりなんてなく。ただ、母親である秋穂のとある思いによる嘘と、特殊な血液型がうまい具合に話に信ぴょう性を持たせてしまっていた、というだけだったのだ。

 

 

「晴人くんがいれば、きっと大丈夫だよね」

 

 だがしかし、事態は一難去ってまた一難。玲衣に憎悪を抱く妹、琴音。彼女の差し金で玲衣はあっけなく遠見の本家に連れ帰られ。だが雨音の力も借り本家に乗り込み、祖父である総一郎から伝えられたのはこれも意外な事実。彼が家を建て直す為に裏の連中の手を借り、その中で恨みを買ってしまった為、寧ろ守る為に連れ戻した、という事だった。

 

つまりは親の世界のとばっちりをくらってしまった訳である。だが、落ち目であってもやはり親の世界の力は強く。遠見の家の離れに晴人と玲衣の住まいは移り。それを見逃す夏帆でもなく、彼女もまた押しかけてきて、離れはどんどん賑やかになっていく。

 

「私、先輩に興味があったんです」

 

更にそこに迫るのは、玲衣の妹である琴音。玲衣の側に居る晴人に興味が湧き、更に共に誘拐事件に巻き込まれた事で、琴音の心は守ってくれた彼へと傾き。彼女もまた、晴人に惚れた事で総一郎はある決断を下す。

 

「いつかは・・・・・・晴人くんのお嫁さんになりたいんだもの」

 

それは、ささやかながらも純粋な思いを抱く玲衣の想いを踏み躙るもの。

 

だからこそ、彼女にとってはきっとここからが本番。彼を手に入れる為には、片付けなければいけないものがある。それは二人にしか出来ぬ事なのだ。

 

更に人間関係が深淵に突っ込んでいく中、それぞれの思いが深まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について 2 (HJ文庫 か 13-01-02) | 軽井 広, 黒兎ゆう |本 | 通販 | Amazon