読書感想:ログアウトしたのはVRMMOじゃなく本物の異世界でした ~現実に戻ってもステータスが壊れている件~

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 さて、この世界には「平行世界」という理論がある、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。平行世界、それはいつもの世界とは違う、ありえた事があり得ず、ありえなかった筈の事があり得るかもしれない、そんな世界。そんな世界に何らかの要因で入り込んでしまう、というのは時々創作の導入として見かけるが、もしそんな状況になってしまったのならば、画面の前の読者の皆様はどうされるであろうか。

 

 

新世代VRMMO「アストラルボーダー」。そのテストプレイヤーとして選ばれ、結果的にクソゲーに過ぎるデスゲームに巻き込まれ。その果て、ゲームの中で知り合った仲間達と力を合わせ、ラスボスである魔神を討伐し。戦いの中で死した仲間達を自身のスキルで蘇生させ、代償として命を落とした少年、玲人(表紙左)。

 

 スキルの悪戯か、それとも恩恵か。奇跡的に命を取り留め、現実世界に帰還した彼。だが、目を覚ました彼の目の前にいたのは、自身の妹であると名乗る謎の少女、英愛。そう、彼は目を覚ましたらどこか現実世界とは違う世界に来てしまっていたのである。

 

一先ず妹の存在を受け入れ、日常生活に戻る事になり。しかし何故か、久しぶりの学校に登校しようかと思えば魔物が出現し。訳も分からぬまま、それでも状況を放置できず守る為に。戦おうとした玲人は気付く。あのゲームの世界で手に入れていたスキルが、この世界でも使えると。

 

 玲人が手に入れていたのは、魔神を討伐したと言う正に規格外の力。その力を以て、影に日向に立ちまわる中。この世界で新たな仲間が出来て、力を認められていく。

 

入学する事になっていた「冒険科」でバディを組んだ少女、恋詠の力を目覚めさせ、彼女の真価を引き出し。

 

ひょんな事から「討伐科」のエース、雪理(表紙右)と知り合い、隠していたその力を見せる事になり、認められて。

 

「人の魂が欲しいなら、同等の覚悟をするんだな」

 

 そんな新しい日々の中、訪れるのは市街地全域を舞台にした大規模な襲撃戦、立ち塞がるのは人の魂を弄ぶ狡猾な魔物。だが、玲人は立ち止まらない。規格外の力と、かつての世界の仲間達の力を借り、ただ助けたいからと立ち向かっていく。

 

その心の中にあるのは憧憬。会いたい者達がいる、かつてあの世界で共に戦った者達に逢いたいという願いがある。だからこそ、抗い続ける。例えどれだけ強い敵が立ち塞がるとしても。

 

ローファンタジーであり、王道に満ちた面白さのあるこの作品。

 

王道的な熱さが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ログアウトしたのはVRMMOじゃなく本物の異世界でした ~現実に戻ってもステータスが壊れている件~ (ダッシュエックス文庫) | とーわ, KeG |本 | 通販 | Amazon