
さてさて、最近のラノベはゲームやラノベ、漫画などの悪役に転生する事が一つの流行なのであるが、大体悪役に転生したらやることは何か、というと、ざまぁされる前、悪役としての死を迎える前にその運命を回避するという事が基本であろう。と言う事は大体どうなるか、というと悪役が悪役として振る舞わないという事である。するとどうなるか。物語の本筋からずれていく、という事である。
それはまぁ言うまでもない事であろう。本筋からずれる、未知の方向へと進む物語を乗り切っていくのも悪役転生ものの見所である。この作品はそんな、物語の本筋からの乖離、ズレがかなり大きい規模で起こる作品であり。悪人が悪人、から憎めぬ男になっていくお話なのだ。
ふと気づくと、目の前にいたのは純朴そうな少年と、仲間達らしい数名。その言から、前世はどうもブラック企業勤務だったらしい魂は気づく。この世界が前世で何度も見たアニメ、「最強の支援魔術師、周りがスローライフを送らせてくれない」の世界であり。自分は主人公であるケインを追放しいずれざまぁされる、Aランクパーティ「竜王の炎」のリーダー、ロイド(表紙右)であると。
「今日をもってこのパーティから追放する・・・・・・・・・・・・俺をな」
さてこのままではどうなるのか。待っているのはざまぁである。と言う訳でロイドとして決意する。自分自身を追放する、と。ケインを大切にしろ、とかつての仲間達に言い残しソロの冒険者となり。だがその身に秘めた他人のスキルを奪う「スティール」のスキルで幾多の人のスキルを奪ってきたせいでかなりの人間から嫌われており、新たにパーティーは組めぬ、という事実を突き付けられる。
「これって、転生先としてはかなりお得物件なんじゃないか?」
「ロイドさまを想う愛の力で覚醒しました!」
しかし、生きていく上で必要なスキルが多数揃っているというのはある意味望ましい事。だがここでふと思いいたる。この先、ケインを追放しなかった事で、ケインのヒロイン達はどうなるのか? と。 気になって放っておけず訪ねたのは、森に住まう獣人の女の子、リリナ(表紙左)の元。 病気の母親の為に薬草を取りに行こうとしていた彼女に協力し、彼自身の善良さを見抜かれて懐かれて。
だが、街に戻りケインたちと再会し目撃したのは、まるで悪役のような性格に変貌し始めたケイン。 自分の選択の結果を見、彼らの後始末を率先的に引き受けたり。そんな中、原作では彼の悪行ではなかった、奴隷の違法売買にまで手を出し始めたケインたちと激突する事になり。売られるところだったエルフの少女、アリシャの協力を得。ワイバーンの討伐勝負に挑む事に。
「大丈夫です。ロイドさまですから」
「そうですね。その点は何も心配していません」
勝負の中、激突するのはOVAで登場した強力な魔物、更にはケインたち。だけど今、ロイドには頼れる仲間達、リリナやアリシャ達がいる。 今、ここに主人公の位置は入れ替わり。ケインよりスティールした主人公のスキルで、状況を勝利へ持ち込み。そして大切な者達と日常へ戻るのである。
可愛いヒロイン達と、根っこは善良な魂の頑張りが光るこの作品。悪役転生ものの王道を見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。