読書感想:ログアウトしたのはVRMMOじゃなく本物の異世界でした3 ~現実に戻ってもステータスが壊れている件~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ログアウトしたのはVRMMOじゃなく本物の異世界でした2 ~現実に戻ってもステータスが壊れている件~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で探していたかつての仲間達の影をあの世界に感じた玲人であるが、画面の前の読者の皆様は果たして本当に、それだけで済むとお考えであろうか? それならば元の世界に戻るだけでいい、話は簡単である。しかしここまで伏線を色々敷いておいて、目指す先がそれではいささかハードルが低くはないだろうか。そう思われた読者の皆様、そのお考えは間違われてはいない。

 

 

現実世界に戻ってきたら、パラレルワールドでした。それだけではなく、どうも世界は玲人にとってかなり厳しいものであるらしい、という所を突き付けてくるのが今巻なのである。

 

仲間達の行方を探す中、パートナーである雪理や恋詠と共に、学園対抗の交流戦に出場する事となり、そこに備えて各自のレベルアップと連携についての練習が始まる中、その間を縫うように繰り広げられるのは、前巻では数を少なくしていた日常の描写。

 

 

英愛と共にゲームに潜る中、ひょんな事からフレンドであるサツキを助けるために無我夢中でスキルを発動したら、バグ技らしき挙動を発見してしまったり。

 

雪理と仲の良い様子を見せて、周りから何故か尊敬を集めたり、更には教師たちにまでその人脈が広がったり、生産科の帆波先輩と実は過去に繋がりがあったことが判明したり、学校に迷い込んでいた無害な魔物を保護したり。

 

戦いも大切、だが息抜きの日常も同じくらいに大切。そう言わんばかりに、様々な色を持つ日常を過ごしながら。交流戦に向けて、少しずつ時間は進んでいく。

 

 

 ―――だが、その裏で仲間達の声は頭の中に蘇り、玲人によって受肉したウィステリアに憑依していた悪魔、メリュジーヌは秘密の一端を明かす。アストラルボーダーとは因子を導く為のもの、そして魔神ではなく魔女神、メフィオラがこの世界に侵攻を仕掛けていると言うこと。

 

アストラルボーダーとこの世界は地続き、ではあの世界に残った仲間達は? その答えはあっさりと、しかし残酷に明確な形を以て現れる。交流戦初戦の終了後、玲人を付け狙い現れたのは、遠距離特化型の魔人。その姿は、かつての仲間であるイオリに酷似していた。

 

「諦められるかよ、二度と・・・・・・!」

 

かつての仲間の戦術を、更にブラッシュアップした形で放つ魔人。限界を超えたその力に対抗するのは、仲間達のアシストを受け覚醒した玲人の本気。だがその思いは届けど、突如現れた謎の手がその魔人を連れ去っていく。

 

やはりと言うべきか、最悪の形の再会が待っている今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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