読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います5

 

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読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻までを読まれている読者様であれば、「魔神」という存在については様々な事をご存じであろう。アリナのすぐ近くにもいる、過去の時代からの生き証人であり、裏クエストが封印からの解放の条件でもある、人に仇為す存在。しかし、そんな魔神達にも事情があった、というのも何となく画面の前の読者の皆様もお察しではないだろうか。では一体、どんな事情があったと言うのか。その答えが示されるのが今巻であり、魔神関係のごたごたに一つの決着をつけるのが今巻なのである。

 

 

「昼間の仕事中は旅行の計画なんて立てられないからね。当然でしょ」

 

年に一度の受付嬢たちの職員旅行。今年、その幹事となったアリナの丁寧な根回しと尽力により定められた目的地は、誰もが憧れ願うリゾート地、「リーティアン」。護衛としてジェイドを招集し、ルリリやロウ達を大賢者の捜索の為に残し。一泊二日の旅行は、アリナのこれでもかという尽力により、何事もなく進むはずだった。

 

「すべてはこの職員旅行ループを終わらせるため・・・・・・!」

 

 が、しかし。なぜかアリナ達は謎のループに囚われ、旅行一日目を永久に繰り返すことになってしまった。何かの行動が事態を打開させるのかも、と様々な行動を試してみるも、影響は大なり小なり与えれど、結果的にループを解決することは出来ず。途中からはループに気付いていたジェイドも交え四苦八苦する中、彼等の前に「予言の巫女」と名乗る半透明の少女、ナーシャが現れ、彼等に時を進めてほしいと願ってくる。

 

何かがおかしい、では何がおかしい? 時に残業に巻き込まれ、時に発生したばかりのダンジョンの攻略に二人で出向き。その最中、ジェイドがループの主と疑ったナーシャが現れ、事態は一気に動き出す。

 

 だがしかし、事態はそう簡単にはいかなかった。ナーシャが告げたのは、この街の真実、そして魔神の真実。真実を知らされ、ライラへと事情を聞きに殴り込みに行く中。なぜか再び姿を現したガルドの手により裏クエストが解放され、まるで神が如き威容の魔神が降臨する。

 

こちらの手勢はごく少数。対する魔神の力は圧倒的。消滅の力を始めとし、操る魔神へと対抗するための力は何処にある。

 

「絶対死なないって」

 

鍵の一つは、ジェイドがナーシャの手を借り発現させた神域スキル。人間では決して耐えられぬ筈の負荷に耐え、ジェイドは希望をつなぐ。

 

「アリナ先輩・・・・・・お願いします!」

 

二つ目となるのはライラの覚悟。全てに決着を付けようと思っていた彼女の力が、アリナを魔神の元へと送り込む。

 

「なら粛清してみなさいよ!」

 

 そして最後の鍵はアリナの力。助太刀に訪れた謎の人物の助言を胸に解放させる大槌の真の力。だが、これで終わりではない。確かに魔神関係のごたごたは終わっても、まだ残っているものがある。

 

この事態の裏、糸を引く黒幕の思惑は未だ一つ打ち砕いたばかり。まだ本当の戦いにも至っていないのだから。

 

一つの事態が確かに終わる今巻、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。