読書感想:どうか俺を放っておいてくれ2 なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる

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前巻感想はこちら↓

読書感想:どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品についての大まかな説明は前回にもう行っているので敢えて言う事は避けるが、この作品は主人公である元プロのぼっち、穂高が成長していくと言う作品であると言うのは前巻を読まれた読者様であれば、もうお分かりであろう。ではそんな元プロのぼっちが、急激に変われるだろうか。

 

 

「いや、インターホンを押す覚悟を決めるかどうか迷っていた」

 

答えは言うまでもないだろう、勿論否である。しかしそれもまぁ仕方のない事なのかもしれない。大人は今まで身に沁みついてきた生き方や性格を変えるのは難しい。そしてそれは、子供も同じ。大人よりは簡単と言っても、子供だって今までの積み重ねを変えようとするのは難しいのである。

 

「私、変わりたいなって」

 

 だがしかし、それでも空に背を蹴飛ばされるように、変化の道を少しずつ進んでいく穂高。その姿に感化されたかのように、自らもまた変わりたいと願う者がここに一人。その名は瑠璃(表紙左)。前巻で穂高に救われた、実か彼と近い趣味を持つギャルである。

 

尻込みしている自分を変えたい、そう願い変わろうと藻掻いていく瑠璃。だが、穂高とは違いその変化は周りに驚きを以て迎え入れられ。急な行いは、今まで親しくしていた者との反発を招いてしまう。

 

自分が関わってしまったから、自分のせいで。自らを責め、関わる事を辞めようとして。自分は主人公じゃないから助けられないと嘯いて、自分の心を誤魔化して。

 

「あのね、七村くんは勘違いしてるわよ」

 

「普通の人だって、自分にとって大事な人が困ってたら、助けたいと思う。それが当たり前でしょ?」

 

しかし、空は彼の勘違いを正し、彼の背を押す。主人公じゃなくてもいい、助けたいと言う思いがあるのならそれで良いと。

 

「お前が手を放したら、本当に、もうつながれなくなっちまうから」

 

 だから今、主人公じゃなくとも勇気を出して。穂高は瑠璃の今までも、頑張りも全て認め、彼女に諭し諦めるなとエールを送る。かつて手を放した、自分のようにはなっては欲しくないと。

 

今までにはなかった「人と関わる」という意識。その意識が、今までにはない結果を生み、今までではなかった関係を作っていく。そして頑張りが認められていく。そんな独特の温かさが更に深まり、円熟していくのが今巻である。

 

だからこそ、大きな動きは特になくとも面白い。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

どうか俺を放っておいてくれ2 なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる (GA文庫) | 相崎壁際, 間明田 |本 | 通販 | Amazon