読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた2

f:id:yuukimasiro:20210912224725j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でこれでもかというカオスを見せつけ、多くの読者を爆笑の渦に叩き込んだであろうこの作品。そんなこの作品の主人公である淡雪のとんでもなさはこの作品を読まれた読者様であればもうご存じであろう。しかし、彼女は三期生、言わば最後発の最も新入り、後輩である。だが後輩というものはその後に続く後輩が出来れば、自然に先輩となるものであるのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。―――しかし、忘れてはいけない事が一つある。彼女の所属する事務所がどんな所であるか、という事を。

 

 

そう、ライブオンとは人外魔境、又は動物園かと言わんばかりの変人の巣窟である。そんな事務所に採用される新人が普通であるか。否、そんな訳が無いのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。

 

 もう言わずともお分かりであろう、今巻で新たに後輩として加わる三人も。いずれも先輩たちに負けず劣らずの変態、もとい変人揃いなのである。

 

『私は流石に無理ですが、ス○○ロプレイ大好きな上に動物に性欲を感じる超上級者の変態さんは大歓喜ですね~』

 

動物園の園長を名乗る、初の挨拶からゴリラの濃ゆい雑学をかましていくエルフ、エーライ。

 

『だから皆は還のママになってください。徹底的に甘やかして死ぬまで人生幼児プレイしてください。なぜなら還は赤ちゃんだからです』

 

三人の中で一番の大人のアバターでありながら、いきなり自分は赤ちゃんであると名乗るヤバい奴、還。

 

『私を貴殿の女にしてもらえないでありますか?』

 

そして王子様系なクールな容姿と抜群の歌唱力を持ちながら、淡雪原理主義者、もしくは狂信者な有素。

 

こんな三人が後輩になった以上、淡雪の日常が更に混沌に染まらぬわけがなく。そんな後輩たちとコラボしたりする以上、放送事故レベルの大騒ぎが待っているのは明白なのである。

 

「お耳おかしなるで」

 

有素とコラボしたら、彼女の愛だからこそなせる業である黒歴史振り返り配信をする事になり、彼女に思わずドン引きしてしまったり。

 

「他の生物が聞き取れない超音波を使う事で公然と下ネタを言うことができる」

 

ネコマ先輩と光先輩と共に参加したエーライ主催のクイズ大会で、皆でボケ倒して大喜利大会にしてしまったり。

 

「なにも分からねぇよ」

 

更には事務所で過去のトラウマを掘り返され倒れていた還を助けたら、ママ認定されたり。

 

「今度はおむつを用意しようか?」

 

「産ませて?」

 

そんな四期生達を見て何かに目覚めたのか、母性が爆発したシオンとコラボ配信して赤ちゃんプレイに巻き込まれツッコミ役に回ったり。

 

 どんどんと広がっていく、淡雪自身の周囲とのかかわり。だがそれは勿論悪い事ではない。自然と出てきた面倒見の良さやノリの良さ。それは彼女自身の魅力なのである。

 

「だって謝ることが口癖になってたから」

 

自身の生みの親であるましろに指摘された時、あの日何も持たずにいた空っぽの自分ではもうない。

 

「ありがとうましろん、今までも、そしてきっとこれからも」

 

 側にいてくれた始まりの一人、ましろ。彼女から始まりちゃみたちを始めとする同期、シオンや聖達先輩達との繋がり。そして後輩たちとの繋がり。大切なものを得た、だからもう一人ではない。もうその背には羽ばたいていく翼があるのである。

 

更に広がりを増し、安定性を得て。大きくその持ち味である、何も考えず笑える面白さを昇華させていく今巻。

 

前巻を読まれた読者様、やはり何も考えず笑いたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた2 (ファンタジア文庫) | 七斗 七, 塩かずのこ |本 | 通販 | Amazon