読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた

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本山らの、ゆきとも、リィエル(敬称略)。さてこのお三方の名前に共通して付随する要素を画面の前の読者の皆様は答えられると私は信じているが、お分かりになられるであろうか。 シンキングタイムは五秒とする。

 

(シンキングタイム終了)

 

さて、では答えは何であろうか。その答えを簡単に言うなれば、「Vtuber」。所謂「ライバー」の方々である。youtubeという画面越しに我々視聴者と、配信主として交流される方たち。

 

 だが、ネット越しに見るその姿に幻想を抱かれている読者の方はおられるであろうか。ライバーの方々とて生きた人間、当然中の人はいる。故にライバーの方々にも日常生活があり、隠された面があっても驚くべきことではないのかもしれない。

 

有名なライバーが多数所属する事務所、「ライブオン」。そこに所属するライバーの三期生の一人、心音淡雪(表紙)。

 

 清楚を売りにし配信行為に精を出すも、デビュー三か月で中々売れず。そんな彼女の隠された一面。それはある日、配信切り忘れという一大事によって視聴者へと晒されてしまう。

 

「うひゃー! やっぱロング缶のなる音は最高だぜぇ!!」

 

「わたしがママになるんだよ!」

 

 その一面とは、酒(特にストゼロ)好き、女好き、not清楚というキャラクターの仮面からはかけ離れた素の顔。その一面は受け入れられなかった・・・という事もなかった。何故なら彼女は「ライブオン」。とんでもない面々が集った人外魔境、はたまた動物園。素の自分でないと並べぬような面々が揃う会社だからである。

 

全ての始まりとなった一期生、全てを兼ね備えた晴。

 

元百合もの専門の女優、女の子大好きな二期生の聖。

 

異様にクソと銘打たれたものを愛する通称、「汚物ジャンキー」の二期生、ネコマ。

 

皆のお母さんとの異名も名高い癒し系の二期生、シオン。

 

女の子好きの性癖に忠実なイラストレーターであり淡雪のママ、三期生のましろ

 

癒し系だけどコミュ障、外見陽キャな三期生、ちゃみ。

 

 お分かりいただけただろうか、あらゆる意味でとんでもない面々がここには集っている。そんな場において、淡雪の隠されていた側面は劣るものか。否、それはない。寧ろそれは強力な武器となる。

 

ましろから「シュワちゃん」という通称と新たな身体を貰い、自分をさらけ出した配信へと臨み。そこから全ては始まっていく。

 

「年下ママすこだね」

「幼児プレイもありかもしれないです」

「        」

 

ある時は聖とシオンとコラボし、聖との息の合い過ぎた掛け合いでシオンを振り回したり。

 

「なるほど! じゃあもっとガンガンいこうぜ精神で行っていいってことだねちゃみちゃん!」

 

「やめてくださいこれ以上は死んでしまいます」

 

またある時は、ちゃみとオフコラボし怒涛の勢いでボケ倒し振り回したり。

 

 打てば響くどころか、打って大爆発させるかのような怒涛の勢いで繰り広げられるドタバタなやり取り。だが、こんなやり取りも淡雪のままでは出来なかった。シュワちゃんという新たな側面を開拓したからこそ出来たのだ。

 

正にそれは、ライブオンの理念、「輝ける人」そのもの。晒したからこそ、この輝きは得れたのだ。

 

まるでストゼロのように、読むのではなくキメるのが相応しい。けれど一度刺さったのなら、キメれたのなら。笑いのツボに悉く刺さってくるであろうこの作品。

 

だからこそ、何も考えずに笑える。そしてこういう作品は、今の世の中とラノベ界にきっと必要である。

 

ただ単純に笑いたい読者様、ライバーという方々が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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