読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた6

 

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読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今巻の感想を書いていく前にであるが、この作品のアニメ化が発表されたのはつい先日の出来事である。・・・大丈夫? ライブオンぞ? ストゼロぞ? カオスぞ? 思わず宇宙猫のような困惑顔でそう問いたくなってしまった読者様もおられるかもしれない。しかしそれは事実である。 一先ず制作会社ガチャでハズレを引かない事を願いたい次第である。

 

 

と、そんな心配もさておき、今巻は一つの区切り、第一部完と言ってもいい巻である。安心して欲しい、まだこの作品はこれからも続くので。では今巻では何を描くのか。

 

 それはちょっぴりしんみりするお話、淡雪の家族問題。皆様も、淡雪の家族が影も形も見えない事を気にされた事はないだろうか。有素の家族と関わる中、ふと見せた様子が気になられた読者様もおられないだろうか。その辺りも書いていくのが今巻である。

 

「絶対に見に行きます!」

 

Vの黎明期を支え、淡雪自身もファンである伝説のV、星乃マナ(表紙右)の一カ月後の引退が発表され。しんみりしつつも、淡雪は本日も配信に励んでいく。

 

「いや情報量が多すぎるんよ」

 

ライブオンの面々が集うワルクラの配信をしたら、家の前で聖と晴がSMプレイをしていたと言う状況から始まり、ネコマの闇の職業を目撃したり、シオンの闇の深い一面を見てしまったり。

 

そんな中、雑談配信で来たお便りに書かれていた家族、という単語が嫌な記憶を思い出させ。更には星乃マナサイドからの卒業配信へのお誘いが届き。混乱しつつも一先ず飲み込み、ライブオン全員でのコラボ配信に挑んだりする中。悪夢の中、淡雪は家族に纏わる過去を思い出していく。

 

それは自分という存在が家族を歪ませ、父母から敵として疎まれていたというもの。そして、自分なりに何とかしようと離れてみたら、改善の兆しが見られた家族を仲直りする間もなく事故で亡くした、という明るさの仮面の裏に隠れた過去。

 

もう家族なんて望まない、その筈だった。だが、思い出した呪いは淡雪の心に絡みつく。家族とは何か。そんな中、星乃マナとの配信の中。淡雪のファンだと言ってのけたマナが、何故推してくれたのかという心に触れていく。

 

それはそこに、独特の温かさがあったから。まるで家族のような温もりと、賑やかさがあったから。

 

「本当に皆、私の―――愛する家族です」

 

家族とは、いざ思い返した時に大切さに気付くもの。思い返す、皆との思い出。チャットを通して届く皆の声。気付いた時、自分の身を縛る茨には大輪の花が咲いていた。そう、気付かなかっただけで淡雪はもう手に入れていたのだ。絆で繋がった、自分だけの家族の形を。

 

「産んでくれてありがとう! ・・・・・・それじゃ」

 

だからもう囚われない。振り返る事はあっても、全部背負って進んでいく。そんな彼女の見つめる先。ライブオンの新たな世代が産声を上げていくのだ。

 

ちょっとしんみりしつつも、最後は感動に変わる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。