前巻感想はこちら↓
読書感想:神は遊戯に飢えている。7 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻でヘレネイアの手先、二―ヴェルンの遊戯をクリアした我らが主人公、フェイ達であるが。もう一勝も与えない、という彼女。本気にさせてしまいつつあるわけで。つまりどうなるのか、というと。前巻の二―ヴェルンの遊戯はまだ優しいものだった、というのが判明するのが今巻なのである。
「嫌なのじゃろ?」
しかし、ヘレネイア自身はまだ動かない。別に余裕はある訳でもない、そもそもさっさと三敗させたいのなら自分自身が勝率0%の遊戯でも作って引き込んでしまえばいい。 しかし神としての矜持か、人としての躊躇か。それはやりなくないと悩み、隠していた巨神像を通して、神としての知り合いである、とある神にお願いをする。
「強欲だな。けしからんぞ、その願い」
その神は、ヘレネイアが知る限りもっとも人間に厳しい神。人間を裁く天使の長、フレイア(表紙)。フェイ達を見極め審判する、という彼女自身の思惑もあり。ヘレネイア達を探す為に巨神像にダイヴしたフェイ達にフレイアの遊戯は襲い来る。
その名も「神をめざして飛ぶ者よ」。 天使の宮殿を天使の学校に見立てて、ココより繋がる「神に至る最果て」へと三時間以内に辿り着けというもの。当然のように悪辣なルールは存在する。 まず、フェイ達を天使たちは攻撃し、一撃でもくらって全滅したら十分間制限時間を削られやり直し。そしてさらに悪辣なのは、この遊戯、ゴールの場所が不明なのだ。無論ヒントはあるがそれだけ。つまり天使の攻撃を搔い潜りつつ、ヒントを探して答えを見つけ出せと言う事だ。
スタート地は屋上、のんびりしている暇はない。だが天使たちの攻撃は容赦なく、あっという間に全滅し制限時間を削られ。 更にはヒントとなる先人の日誌を集めていくも、全部集めれば勝利条件はない、という絶望に行き当たる。
「そっちの攻略ルートだったわけだ」
これは勝利なき遊戯なのか? 否、天使は厳格であっても絶対中立。つまりは何処かにヒントはある。間違っていた前提、最初から組み立て直して辿り着いたのは、最後の答え。使える道具はこの天使学園全部。 動かぬこの学園を動かせば、それは答えとなる。
「あなたたちの旅の最果てという意味でしかない」
だが、それは最果てまであと少しというと同時に、最早ヘレネイアにとっても後はないと言う事。遂に動き出す、彼女が。仕掛けてくるのは、人間が勝利する事を想定していない、正に絶対勝てない遊戯。果たしてそれを攻略する術とは。
決戦へ向けて準備整う、更なる面白さの予感高まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。