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読書感想:神は遊戯に飢えている。6 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、過去を知るからこそ再び遊戯を終わらせようとしているヘレネイア。遊戯を楽しむ者としてそれを許すわけにはいかぬフェイ。過去と未来、同じ盤面の上に立つも見据える先は違う二人。 しかしお互い、目的を叶える為の道筋は同じ。しかしヘレネイアには、彼女にしか取れぬ手がある。それはチームメイトが神だからこそ、チームメイト達に遊戯を仕掛けさせる、という事。
無論、勝てばフェイ達が先に目的に近づくと言うリスクもあればリターンも大きいその一手。 しかしヘレネイア達は、最早その手を取るしかなく。故にチームメイトの一柱、二―ヴェルンが遊戯を仕掛けてくるのが今巻である。
「単に遊びたいだけじゃろ」
「あのバカ猫!?」
ヘレネイアが気紛れな彼女に頭を抱えている、と知る由もなく。 二―ヴェルンにより連れ込まれたのは架空の村。「すべてが赤になる」、彼女による遊戯の舞台。ゲーム内容はマーダー・ミステリー。被害者となる村長は既に焼死体になっており、プレイヤーの勝利条件は各人に課された目標を最低一つ、達成するというもの。
「俺なの犯人!?」
フェイ達プレイヤーはそれぞれ村人。パン屋のフェイ、料理屋のパール、副村長のレーシェ、商人のネル。数合わせにゲストとして巻き込まれたミランダは農家、ケイオスが狩人。理事長の秘書であるアリッサが花屋。そしてフェイは、人狼であり犯人。 ルールによりお互い疑心暗鬼、を強いられる中推理パートは幕を開ける。
だけど、捜査する中でどうも、妙な流れになっていく。村長の遺体に遺されていた傷、それはフェイがつけた事になっている傷だけではなく。そして彼は遺体を焼いてもいないし、更には殺したはずの時間以降、村長が生きていたと思しき証拠まで出てくる。
「正体を隠していたら勝てないからさ。これが神の狙った敗北ルートだったんだ」
一体どういうことなのか? 探る中、感づいていくのは二―ヴェルンの気紛れに見えて悪辣なルール。そもそも前提から違う、前提のままではただ、負けの道筋に乗ってしまうだけ。
では、どうすればいいのか? 犯人はフェイだけではない、ならば誰が犯人か。それはつまり、指し示すもの全てが犯人、という事。そして、倒すべき敵は最初からいて。それは全員の力を合わせなければ勝てない、という事。
「グッドゲーム」
その真実に辿り着き、真の目的を果たしたフェイ達を、神様らしく公平に。二―ヴェルンは讃え、一勝を与える。
「もう一勝たりとも与えません」
だがそれは、ヘレネイア達の勝利数を超えた、本格的に彼女が動き出すと言う合図。いよいよ直接的に動き出す、彼女が仕掛けてくる一手とは。
遂に決戦、始まる予感の高まっていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。