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読書感想:神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さぁ、地上最大のショーと語ったこの作品における神との遊戯。前巻では円環の蛇、ウロボロスとの激闘を制した我等が主人公、フェイ。だが、画面の前の読者の皆様はこうは思われていないだろうか? 騙し合い、もっと見てみたいと。
そんな画面の前の読者の皆様、どうか安心していただきたい。今巻は騙し合いも山盛りであり、知恵のぶつけ合いもてんこ盛りである。そして、フェイ達の相手となるのは神達だけではなく。人間もまた、彼等の力を試し競い合いたいとやってくるのである。
ウロボロスの撃破、不可能と言われていた神との遊戯の攻略。それは世界に大きな歓喜と熱狂を巻き起こしていた。そして世界だけではない。ルイン支部でもまた、熱狂に心を燃やされた使徒達による攻略の渦が巻き起こっていた。
だがそれは、ダイブに必要な巨神像が渋滞するという事。英雄であっても特別であるわけもなく、ゲームに触れられなくなってしまうフェイ達三人。
そんな彼等へと、ミランダはWGT、ワールドゲームズツアーへの誘いが来ているのを伝え、今すぐにゲームが出来るなら、とレーシェの後押しもあり彼等はダーツにより決めた都市、聖泉都市、マル=ラへと向かう。
かの都市で待っている新たな出会いと新たなる好敵手。出会いの主の名、それはネル。遊戯で三敗し退役しながらも諦めきれぬその心に、フェイにより火を灯された少女。好敵手の名、それはダークス。わずかな時間でマル=ラ支部の筆頭に躍り出た新進気鋭の使徒であり、一方的にフェイをライバル視する憎めぬ男。
ダークス達との交流戦の舞台、「Mind Arena」。カードゲームとすごろくが合体した、戦略性と機転の問われる高度なゲーム。
交流戦の先、彼等と共に挑むはマアトマ二世。砂漠を照らす太陽を従える軍神の主催する、太陽のように輝き咲き誇る花を巡る、大規模な鬼ごっこ。
確かにウロボロスも強敵だった。だが、今回の神の遊戯は段違いである。確かな知性が見えるからこそ、マアトマ二世は始まりから伏線を仕込み、誰をも騙して全てをひっくり返さんと意地悪く仕掛けてくる。
「―――教えてやるよ。答え合わせの時間だ、神!」
「神は自ら奇跡を啓く者にのみ微笑む。どうだ、楽しいゲームになっただろ神!」
だが、フェイだって伊達じゃない。神よりも早く、ダークスとの遊戯の中から既に伏線を仕込み。更にはレーシェと交わした即興の嘘すらも用い、全てをひっくり返された舞台をもう一度覆して見せる。敗北の予感の絶望を、驚きと興奮で塗り替える。
『愉快!』
策をぶつけ合い、作戦と嘘とはったりで覆し。けれど、全てを覆されたマアトマ二世は何処までも楽し気に。呵呵大笑し立ち塞がる。フェイという強大なる挑戦者に挑む、一人の遊戯者として。
『人と神の遊戯に終わりはない。人間よ、新たな遊戯で待っている』
ぶつかり合って、一緒に遊んで心から楽しくなって。そして最後は笑顔でまたいつかの約束を。前巻にも増して戦略性を搔き立てられる新たな遊戯。それに燃えずしていつ燃えればよいのか。心燃える瞬間はこの巻の中にあるのだ。
だからこそ面白い。正に最高なのである。
前巻を楽しまれた読者様、やっぱりゲームが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
神は遊戯に飢えている。2 (MF文庫J) | 細音 啓, 智瀬 といろ |本 | 通販 | Amazon