読書感想:週4で部屋に遊びにくる小悪魔ガールはくびったけ!2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:週4で部屋に遊びにくる小悪魔ガールはくびったけ! - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、私は前巻の感想で聖也と美沙が何処か似た傷を抱える者同士であると言う事を書いたと思う。そんな二人は、前巻で起きた出来事で少しだけ仲良くなり、絆を深めたと言える。では今巻では一体どんな光景が待っているのか。どんな展開が待っていると言えばよいのだろうか。

 

 

前巻の出来事で少しだけバスケへの情熱を取り戻したけれど、相も変わらず無気力である聖也。それもまた、仕方のない事かもしれない。きっかけとなる出来事があったとしても、人間はそう簡単には変われない。例え心に風が吹き込んだとしても、その風は心を駆け抜けていくだけ。とどまりもしない。

 

 だが、確かに風は心に傷跡を残していた。あの日のように駆け抜ける事は出来はしないけれど。それでも自分にまだ出来る事はある。身体に出来ないことがあるけれど、今までの技術は裏切りはしない。自分に出来る事でバスケに向き合っていこうとする聖也。そんな彼を、遺してきた過去が追いかけてくる。あの日の過去が迫ってくるのだ、彼の予期せぬままに。

 

球技大会、激しいプレイの中で感じたのは再びの負傷の予感。街で再会しぐいぐいと迫ってくるのは、あの日聖也の隣にいた元カノ、真琴。

 

「何ですか。聖也さんは今カノに元カノと仲よくしろとでも? どれだけ平和主義なんですか」

 

それが面白い訳が無く。二人の時間を邪魔された不満を表すかのように、唇を尖らせる美沙。

 

 そう、美沙が立ち止まっている訳もない。かの小悪魔ガールが立ち止まっている訳もないのだ。

 

「じゃあ、後で行きますから、いい子で待っててください」

 

互いの母親の仕事の予定が重なり突如訪れたお泊りデートの機会。ぐいぐいと、あらゆる小悪魔的アプローチを生かして聖也のパーソナルスペースに踏み込んできて。かと思えば、ふとした接触にペースが狂ってしまったり。はたまた、球技大会でデートを賭けて聖也に勝負を挑んだり。

 

そんな彼女のアプローチは確かに、聖也の心の中に届いている。彼の心の中を確かに変えていく。変わりゆき、立ち直りつつある心に元カノが差し挟まれる余裕があるか。答えは勿論、否。そんな訳はないのだ。

 

「今の僕が期待に応えないと思うのは美沙であって、麻宮さんじゃないんだ」

 

期待に応えたい、彼女の前を歩きたい。そう思うのは美沙だけ。まだ彼女ではないけれど、この関係に名前はないけれど。それでも、確かに大事なのは彼女だけなのだから。

 

前巻にも増して甘酸っぱく、変化が確かに感じられる、爽やかに駆け抜ける風のように柔らかく。確かなラブコメの波動が面白さに繋がっている今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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