読書感想:放課後の聖女さんが尊いだけじゃないことを俺は知っている2

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 さて、前巻を読まれた読者様がこの巻の感想を開いているという事を前提にここからの感想を書いていく事を最初に予告させていただくが、前巻で芽生えた、基本的には平凡と言える主人公の大和と、聖女とも呼ばれるけれど年相応の素顔を持つ聖良の名もなき関係と言う点については、皆様もご承知済みという認識でここからは書いていきたい。芽生えたばかりの名もなき関係。その関係は、一体どういう方向性へと向かっていくのだろうか。

 

 

と、ここまで長々と前置きを書いてきた訳であるが、予め言ってしまうと今巻では特に変化はない。具体的な名前は、二人の関係性にはつかない。

 

 だがしかし、二人の関係性、名もないけれど唯一無二の関係性はまた一つ、深まっていく。その特別性を更に増していくのが今巻なのである。

 

学生の本分は勉強、という事で二人で放課後にファミレスに立ち寄り二人で額を突き合わせて勉強したり。

 

定期テストを乗り越え、ナイトプールを体験しようと言う聖良に連れられ学校のプールに忍び込んだり。

 

プールに忍び込み、風邪を引いてしまった聖良の家を訪れ看病したり。

 

そして、夏休み前の体育祭。二人で応援団に参加して頑張ったり。

 

 二人だけの秘密と時間も積み重なっていくけれど。同時に大和も聖良も、周りとのかかわりが少しずつ増えていく。聖良の聖女ではない顔を知る者が、ぽつぽつと発生していく。

 

それが何処かもやもやする、何とは言えないけれど苦しい大和。だがそれは聖良も同じ。

 

彼が告白されるかも、という話を聞いた時に胸に浮かんだ謎の感覚。具体的に何とは言えないけれど、それでも何だか嫌、というそんな気持ちが浮かび上がっていく。

 

 やっぱり、一番大切なのは名もなき関係。今は未だ「友達」としか言えないけれど、それでも隣にいてくれると嬉しいお互いと言う存在。

 

聖良の祖父が倒れたと言う一報を受け、彼女と共に向かった病院で彼女と父親のすれ違いの一端を目撃し。改めて彼女を支えたいと願う大和。

 

そんな彼に、未だ気付かぬけれど心の内でどんどんと惹かれていく聖良。彼にだけ見せられる顔がある、彼だからこそ明かせる思いがあるとまた一つ、また一歩。少しだけ距離を詰めて寄りかかる。

 

「夏休みの予定、ちゃんと空けておいてね。いろいろとやりたいこともあるし」

 

そして二人を待っているのは開放の季節、夏休み。学校もない、放課後もない。そんな時間に二人を待っている、二人だけのイベントはどんなものになるのだろうか。

 

また一つ、小さいけれど確かに一つ、二人の関係が深まり距離が縮まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。