読書感想:失業賢者の成り上がり ~嫌われた才能は世界最強でした~

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 さて、この間生ける屍が出てくる作品を読んだ気もするがそれはさておき、画面の前の読者の皆様にとって、ゾンビや死霊と聞くと何をイメージされるだろうか。今アニメ二期が放送中のゾンビランドサガだろうか。それとも、何か別の作品であろうか。

 

人間と、七つの大罪の称号を冠する七人の魔王が世界を巡り合い相争い、与えられる刻印が重要となり。人々の希望を「勇者」という存在が一身に背負うとある異世界

 

「すまない、カルナ君。パーティーを抜けてくれないか?」

 

 かの異世界で、天から「賢者」の刻印を与えられ勇者パーティへとスカウトされた少年、カルナ(表紙左)は今、追放の鬱き目に遭っていた。しかもその理由は、彼の才能である「死霊術」が気持ち悪いと言う割としょうもない理由である。

 

僅かな退職金しかもらえずとも、何とかなるという希望を胸に。けれど勇者パーティを解雇されたと言う事情は、事情を知らぬ人から見ればどうしようもなく汚名であり。追放早々、仕事に困り、明日食う物にすら困るあり様。

 

「―――あなたの【死霊術】は。世界で一番ステキな魔法よ?」

 

「その美しい魔法を、私の傍で、もっと私に見せてちょうだい」

 

 だがしかし、捨てる神あれば拾う神あり、とでも言うべきか。とあるダンジョンに潜ったおり、彼と遭遇した者の名はセシリア(表紙右)。七大魔王の一角、「色欲」の魔王である。

 

初めて自分を受け入れてくれたという悦び。そして何よりも、自分の目的を果たす為に必要な巨額のお金。大切なものをようやく得れたと言わんばかりに、カルナは人間を裏切り魔族につく事を決める。

 

 セシリアにとっては単なる幸運の拾いもの、それだけであったのかもしれない。だがしかし、その拾い物であるカルナは正しく金の卵。とんでもない逸材だったのである。

 

常識外の魔力、それに支えられた圧倒的な死霊術。それどころか、幼き頃に封印されていた外なる神々との縁を結び、対等以上の契約関係で力を借りる事が出来る。

 

 それは正に、常識外の最強の力。虐げられるだけの人間界では決して認められることのなかった、世界を変える程の力。

 

 勇者達は知らない、自分達がどれほどの逸材を手放してしまったのかを。どれほどまでに危険な相手が、敵になってしまったのかを。

 

他の魔王の部下を容易くぶちのめし、セシリアより与えられたダンジョンの最奥。正体を隠し、敵同士として向かい合うカルナと勇者パーティ。

 

 その勝敗は・・・最早言うまでもないだろう。力に溺れる勇者パーティが、真の強さを知り正しく世界の違う力を行使できる彼に勝てる訳もないのだから。

 

「それなりにスッとしました。だから、もういいかなって」

 

今まさに、彼は復讐を越え、復讐と言う枷から解き放たれた。最早止めるものなし。ならばこの先、どうなるのか。

 

追放ものが好きな読者様、綺麗なお姉さんが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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