読書感想:悔い改めよ!ハーレム学園

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。ハーレムと言うものがある。それは既にご存じであろう。一般的なイメージで言えば、一夫多妻のようなイメージが強いかもしれない。では、ハーレムは何人まで良いのか。何人までが許容範囲であろうか、画面の前の貴方は。

 

異世界人も電子生命体もいる。そんな事がサラっと語られる程に異世界的な存在が根付いた、この作品中における日本。

 

この世界の何処かにある、「私立シャインライズ学園」。ふざけた名前と思われるかもしれないが、本当にこんな名前である。この、「世界差別の撤廃」を謳う学園にはそんなお題目の裏に、隠された思惑があった。

 

それが何かは、世間で言われる悪名が端的に示している。

 

 その名は、「私立ハーレム学園」。一体どういう事なのか。その答えは、「女性にモテる」というただそれだけで巨大な企業複合体の長まで成り上がった、この学園の創設者、弓坂弾正に由来する。男子生徒は全て、世界規模のハーレムを作り上げた弾正の血縁者であり、女子生徒のほとんどは各世界の実力者の子女。積極的に生徒達を恋愛させ、弾正の閨閥の強化を果たす。そんな狂った目的の元に作られたのがこの学園である。

 

そんなヤバめな学園に、一人の少年が入学を果たす。彼の名前は将監(表紙中央上)。弾正の系譜でありながら、一人の女性だけを愛したいと願う少年である。

 

入学早々、自分を狙っていた級友、阿野(表紙右上)に告白されたり。異世界からの来訪者、ディータ(表紙左上)に決闘を挑まれたり。かつて助けた蛇が化身した少女、三鱗(表紙左中央下)に迫られたり。

 

 弾正の系譜である事からは逃げられぬ。と言わんばかりに始まる、とんでもない日々。そんな中、将監は一人の少女に出会い、恋に落ちる。

 

だが、恋した相手は悪かった。相性が悪かったわけではない。ただ、弓坂の家とは戦いあう運命にある少女だったのだ。

 

 かの少女の名は深姫(表紙中央下)。弓坂に敵対する女流家系、一妻多夫の家庭の跡取りとなる少女であり、既に多数の夫を従え、その全員に超常的な力を与えると言う異能を持つ少女である。

 

お互いに好き合い、惹かれ合い。けれど運命は敵対以外に許さず、将監の異母兄である勘解由(表紙右下)を巻き込み、異能と異能がぶつかり合う激しい戦いが巻き起こる。

 

「私は、あなたのヒーローになりたい」

 

「どうか私のヴィランになってください!」

 

その果てに見出した願い。それは逆説的な関係でも近づける二人だけの関係の形。ヒーローとヴィラン、対立するが故にしか出来ぬ、特別な関係。

 

ブコメだけではない、骨太な展開。そんな中に、すれ違う二人の思いと面倒くさいヒロイン達の思い。普通のラブコメとは一線を画した、そんな読み応えが見所であるこの作品。

 

骨太な作品が好きな読者様、面倒くさいヒロインが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

悔い改めよ!ハーレム学園 (講談社ラノベ文庫) | 安藤 白悧, おみおみ |本 | 通販 | Amazon