
この世の中には「能ある鷹は爪を隠す」という言葉があるのだが、画面の前の読者の皆様もご存じであろう。この言葉が当てはまるのは、ラノベで考えるとモブが活躍する物語であろうか。一見するとモブ、何処にでもいる大多数。だが裏では類まれなる才能などを持っていて、人知れずその力を使っていたり、活躍する。そんなお話にこそ、この言葉は当てはまるのであろう。ではこの作品はどうなのか。主人公である雪春(表紙上)が何かを隠しているお話なのか。
その答えに関して言うと、それは違うと言える。確かに雪春は力を持っている。だがそれは、彼自身も気づいていない無自覚な力。彼だけが知らない、己がどれだけ規格外、世界の命運すらも左右する存在であるという事を。この作品はそんなお話なのだ。
「君には特別な才能がある」
中学三年生、進路を決める時期。政府のお偉いさんであるらしい胡散臭い男にそう言われ、指定する学校に入学して欲しいと言われ。雪春が踏み込んだのは、限られた人しか知らない魔法や異能がある、世界。まるでフィクションのような設定モリモリな人物達の宝庫、自分にも力があるのか。だが彼の異能ランクは、平均より少し下。異能も中々目覚めず、それどこ入学以降に出来た親友である冬二の方が主人公属性モリモリ、異能に目覚めハーレムを築く場面を見ているしかなく。異能世界でもモブ、として理事長の孫であるルウの遊び相手になったり、バイトしてみたりと。ごく当たり前の日々を過ごしていた。
「己の異能の制御くらい、しっかりやってもらいたいものだまったく・・・・・・」
しかし、雪春だけは知らない。自身には異能が無いわけではない。寧ろ勝手に自律行動している。「黒い女」(表紙左)と言われ、雪春には接触はしてこぬものの、実力者たちが全員死の危機を抱くほどの規格外の、何者か。 雪春に大恩があるらしく、彼の事を妄執的に愛し。彼に危害を加えんとするものは抹殺、人間であれば己の一部を注ぎ込んで己の同類としている。
そんな存在に、不意に接してしまった者は軒並み狂わされていく。とある組織に属し「現人神」を狙うサラ(表紙右)も、「黒い女」の目に留まり。知らぬ間に狂わされていく。
「強くなる。そして今度こそ守ってみせる」
そんな事が起きている、とも露知らず。学校を舞台にした一冊の魔導書を巡る事件の中、何も出来なかったと冬二は悔いて。実力者たちから黒幕、と扱われる存在は傍に居るとは露知らず、主人公らしく進んでいくのだ。
モブな彼のモブな日常、その裏の日常。その二つが大いなるギャップとして効いているこの作品。まったり目な面白さを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
魔法や異能が存在する世界のモブのはずが、裏では黒幕扱いされていた話 1 (オーバーラップ文庫) | 考える人, カラスBTK |本 | 通販 | Amazon